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「そう? 大阪弁のほうがうつるよね?」 「そうか? 大阪弁しゃべりたいん?」 「うん。そう言えば昨日、大阪弁褒めてくれた」 「あいつが? 大阪弁? なんで?」 「僕が桜かわいいねって言ったら、お前のほうがかわいいって言うから、ホンマ? ありがとうって大阪弁で返したんだ」  委員長は少し目を細めて楽しげな表情になる。 「ほうほう、そんで?」 「最初はちゃんと言えなかったみたいだけど、次は言えたよ」  若干どや顔になっていたかもしれないが、奴は苦笑して「おうてるで」と誉めてくれた。 「ホンマ?って発音、案外難しいよね、イントネーションが」  ま、の音の絶妙な高さというかやわらかさというか、が東京育ちの僕には難しい。 「そうなん? 俺らにはわからん感覚やけど。ていうか、かわいいて言われてんの?」 「わりとしょっちゅう。そういうジョークが好きみたい」 「……確かにかわいーな」 「委員長もそういうこと言うんだ」 「いや、マジで。俺もかわいいて思てるで」 「そう? ありがと」 「怒らへんの? かわいいて言われて」 「だって女子もよく言うよね。犬猫でもイグアナでもぶさかわキャラでもかわいいって」  かわいいなんて大した意味はないという僕に、 「うーん、そういうかわいいとはちゃうねんけど」  委員長は男らしい顔でにかっと笑う。

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