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「ないないー」
「高校生はそんなん配れへんで」
「でも中原くんにはあげよ。これ、今週の新商品」
一人の女子がかわいいブドウのパッケージの飴をくれた。
「ありがと」
配らないけど、飴は持っているものらしい。
大阪のおばちゃんも謎だけれど、女子も謎だ。
「アメあげたくらいで睨みなや」
飴をくれた女子が笑って僕の後ろの遥清に言った。
「またくっついてんの、遥清」
「もうみんなわかってるから、そんな威嚇せんでもええって」
威嚇? 何が?
首をひねって後ろを見上げたら、ぶすっとした顔の遥清が見えた。腕を回されているから体の自由がきかない。
「ちょっと話して笑たくらいで、そんな顔せんでも」
「そやで、嫉妬深い男は嫌われるで」
嫉妬? 遥清が?
どうして?
「俺のツレにも嫉妬深い奴おるけど、あっという間に彼女に逃げられとったで」
「そうそう、男は広い心を持たんとなー」
智嗣が言って、ぽんぽんと遥清の肩をたたく。
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