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「有馬、どないした? そんな顔して?」
向かいの智嗣が僕を見て言う。
「この前も聞いた言葉だけど、ツレって何?」
「ツレ?」
「今、山本くんが言ったでしょ。俺のツレに嫉妬深い奴がいてって」
「ああ、そのツレ」
「うん、どういう意味?」
「友達やな」
「友達なんだ」
「んー、普通の友達よりもうちょっと親しい感じかも」
うまく当てはまる言葉が見つからないらしい。
友達より親しいって言うと……。
「親友ってこと?」
「……うーん、親友っちゅーとちょっと感じ変わるなあ」
智嗣がすこし首を傾げ、遥清もあいまいな顔になる。
「そやな。でもまあ、親友かなあ」
「てゆーか、ツレはツレやんな」
なるほど。
「じゃあ、遥清と智嗣はツレってことだね」
「え、嫌やわ」
間髪入れずに遥清が言い、智嗣はにやにや笑った。
「傷つくわー。おねしょの回数も知ってる仲やのに」
「幼稚園の話をすんな!」
「えー、風呂でチンコの大きさ比べた仲やのにー」
「アホか! 小学生の話も出すな!」
二人はすごく楽しそうだ。クラスメイトは慣れっこなのか、二人の漫才には構わずに作業に戻っていく。
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