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Page11:男なら当然
……モットナイテ?モットナカセテアゲル?
「しゅ、しゅんく…?」
まるでドS男子が言いそうな台詞に、涙がピタリと止まって、ズッと鼻をすすりながらシュンくんを見た。
「ナオくん、もっと色んな顔見せて。誰も見てない、僕しか知らない…ナオくんの顔。」
「…あの、」
「ね?朝まで楽しいコト、しよ。」
……誰だー!!この人誰だー!!
絶対シュンくんの顔した誰かだよー!!
「い、いやいや、シュンくん…おち、落ち着い…ぁッ!」
「ナオくんの感じてる顔、たまんない…。」
「い、み…わかんな…ッンン、こすっちゃ…だめぇ…!」
「だってナオくん、自分でやってくれないから…。」
「は、ぁっアッ!も、でちゃう…っ、」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら一定のリズムで扱かれ、早くも絶頂を迎えそうになる俺の首元に顔を埋めたシュンくんは、チュッチュッと触れるようなキスをしたり、時折ペロリと舐め上げる。
快楽に流され、早くも射精感が込み上げてきた俺は、キュッと目を瞑った。
「んっ、ン…ッい…っ!」
「あー、手が疲れちゃった。」
「っふぇ!?」
達する寸前でシュンくんの手がパッと離され、突然なくなった刺激に、全身がビクンッと跳ね上がった。
「しゅん、く…なん…っ、」
「イキたいなら自分でやっていいよ。」
「え…。」
「僕が見ててあげるから。」
はくはくと浅く呼吸しながら、涙目でシュンくんを見ると、そこには、にこっと優しく微笑む悪魔がいて…。
「そ、んなの…むり…っ、」
「じゃあ、このまま寝る?」
「…っ、」
なんて、完勃ち状態で寝れるわけがない俺に、鬼畜な質問する。
「あとはナオくんが決めて。」
選択肢なんて、あってないようなもの。俺が選ぶ答えを知っているからか、シュンくんは余裕の笑みで俺を見つめた。
「は、ぅ…、」
「うん?やめる?」
俺だって理性が切れたわけじゃない。
だから羞恥心やプライドだってある。
「しゅ、んく…俺…っ、」
「なに?聞いてるよ。」
「…と…、」
「と?」
「…トイレ行ってくる!!」
そう叫んで、シュンくんが拍子抜けた顔をしたと同時に俺は飛び起き、脱兎の如く逃げた。
「…あーあ、逃げられちゃった。」
少し困ったように笑いながら、シュンくんがそんなことを言っていた事なんて知る由もなく、俺はトイレに入って鍵をかけ、ズルズルとしゃがみ込む。
「…っぶねー…、危うくシュンくんの前で二回目の痴態を晒すところだった…。」
……てか、なんだアイツ!寝てると思って、起こすの可哀想だと思って必死でベッドに運んだのに!挙句、寝惚けてんのかと思ったら「自分で擦ってるところ見せて」って起きてるし!自分の擦ってってなに!?見せてってなに!?
ホモなの!?男好きなの!?なんで俺!?そこに俺がいたからか!?
「んだよ、どいつもこいつも…。」
俺は男だし。女が好きだし。おっぱい好きだし。柔らかいのがいいし。…そんなこと、男なら当然だし。
「…なのに、なんで一向に萎えないんだ、俺の息子よ…。」
しかもなんでちょっとドキドキしてんの俺。…いや、このドキドキはビックリのドキドキであって、決して恋愛とかそんなんじゃない。吊り橋効果に引っかからないぞ。
俺は!女が!好きなんだ!!
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