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Page15:経験値Lv???

「とりあえず公園にでも…っおお!?」 「…俺ん家行くぞ。」 ソウを引っ張りながら話ができる場所を考え、近くの公園に行こうとしたが、速攻主導権を握られて有無を言わせずズルズルと引っ張られた。 「お、お邪魔しまぁす…。」 暫くしてソウの家に着き、部屋に連れて行かれた俺は大人しくソファーに座る。 昔よく互いの家に行き来してただけに、模様替えされていても懐かしさが溢れ出した。 よく使ってたゲーム機器、よく読んでた漫画…ここで過ごした時間は本当に楽しかったなと思い出す。そんな日々も、中学を卒業したらあっさり終わってしまったけど、当時新しい生活に忙しかった俺たちは、あまり気に止めていなかった気もする。 「で、どういうこと?」 …なんて、過去を語ってる場合じゃない。 「えっと…、その…。」 「お前ら付き合ってんの?」 「いえ…、付き合ってません…。」 「じゃあ何?襲われたってことでいいわけ?」 「襲…っ、あー、まぁ…結論的には、そんな感じになるのかなぁ…、たぶん…。」 もにょもにょと曖昧な表現をしながら、ご立腹なソウをどうしたものかと考える。そんな俺を見て、ソウは数秒黙った後、口を開いた。 「…あのさ、なんでお前…。」 「うん?」 「男に襲われてそんな平気でいられるわけ?」 「えっ…。」 かけられた言葉にブワッと嫌な汗が吹き出て、思わず息を飲み込む。 「もっとさ、なんかあるんじゃねーの…?普通は。」 「………。」 軽蔑というよりかは、不信感を抱いているような目付きで見られ、何も言えなくなる。 ソウに言われて初めて、自分の態度があまりにも軽かったのだと感じた。 「…もしかしてお前、経験あんの?」 「あっ、あるわけないだろっ!!」 ソウの無粋な質問に、目を見開いて全否定する。ドクドクと心臓を鳴らして、肩で荒く息をした。 「本当に?」 「…っ、ほ、ほんとに…!」 「…そうか。」 ソウが俺の答えを聞いて、ふぅ…と息を吐くのを見て、俺も落ち着かないと…と我に返り、呼吸を整える。 「…あの、ソ…ッうわ!?」 「じゃあ、確かめていい?」 「は…っ?」 声を荒げてごめんと謝ろうとした瞬間、視界が反転し、目の前にはソウの顔があって、ソファーに押し倒されたのだと理解した。 意味のわからない…わかりたくもない事を言うソウは、いつになく真剣で嫌な空気が流れる。 「お、おい…っ、ソ、ウ…?」 「なに?」 「じょ、冗談キツイって…、はは…。」 「俺が冗談言ってると思う?」 「…っ、おれ、嫌だって…、ねえ…っ!」 「じゃあ逃げれば?…逃げれるものならね。」 嫌がる俺を抑えつけながらソウがニヤリと笑い、その顔がシュンくんと重なった。 「な、に言って…って、おいっ!ちょ、なにして…っ!」 俺のズボンに手をかけ、カチャカチャとベルトを外そうとするソウの手を急いで止める。 こんな事をされては、もう冗談では済まされなくなると必死だった。 「ナオ。手、邪魔だから退けろ。」 「…っ、」 ギンッ!と効果音の出そうな程の眼力を向けられ気迫負けしてしまい、俺は小さく手を震わせながらそっと離す。 「はい、いい子。」 優しい声が余計恐怖心を駆り立てたが、抵抗しないわけにはいかなくて、今度は説得しようと決めた。 「ソウ、やだ…やめて…。」 「あ?」 「おっ、俺が悪かったから…ッ、お願い…!」 「っせぇな。悪いと思ってねぇくせに、謝ってんなよ。」 「そんなこと…っ!」 「いい加減にしろよ。」 「……っ、」 今までにない程のドスの利いた声で、俺は言葉をも失う。俺の抵抗は、負けに終わったどころか、ソウの機嫌をより一層悪くし、最悪な状態となった。

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