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Page41:会いに来た

「うわー、本当に感じるんだ。」 「ぁ…、ちがっ!」 「違わないだろ、ほら。」 「あん…っ!」 爪を立て、カリッと乳首を引っ掻かれた瞬間、まるで女の子のような喘ぎ声が俺の口から出る。自分でもそんな声が出た事に驚いて、カッと顔を熱くさせた。 恥ずかしくて、一刻も早くこの場から消えてなくなりたかった。 「……ちょっと、変な声出さないでくれる?」 「あ!?それはルイくんが…っ!って、えっ?」 「……っ、」 声を出させた張本人のくせにと思いながら睨み上げると、そこには再び顔を真っ赤にしてるルイくんがいて、目を見開く。 「なん…、顔真っ…ぅいッ!」 「うるせえっ!見るなボケ!」 「ぃった、いたいって…!わかったから、抓らないでぇッ!」 俺がそれを指摘しようとした時、乳首をギュッと抓られ、そのあまりの痛さに思わず涙目になる。 言っても聞いてくれないと分かり切っていた俺は、固く目を閉じ痛みに耐えながらやめてくれるのを待った。 「…っ、」 そんな俺に息を飲んだルイくんが、徐々に顔を近付けていることなんて知らずに…。 「はい、そこまで。」 「…っ!シュンくん!」 不意に痛みが消え、聞き慣れた声にパッと目を開けると、息を切らしたシュンくんがルイくんの腕を掴んでいた。 「ナオくんから退こうか。」 グイッと腕を引き、俺の上からルイくんを退かし、俺も起き上がって少し捲れてた服をサッサと直した。 「…で?」 落ち着いた頃、腕を組んで、この状況の説明を求めるシュンくんの顔は、ニコリともしてなくて…。 「えと、えっと……。」 非常ーに怖い。怖すぎて思わず地べたに正座してしまうくらいには怖かった。 そこでここは一つ、原因であるルイくんに説明してもらおうと視線を向けると、丁度目が合って、ハッとしたルイくんが口を開く。 「ぁ…、…あ!おかえり!シュンちゃん!」 「!?」 「………。」 突然のメイさんのモノマネに、俺の開いた口が塞がらない。 「私、シュンちゃんのこと待ってたんだよ!さっきのは…えっと…っそう!コケちゃって!恥ずかしいところ見られちゃったな〜!」 てへへ、と戯けるルイくん。 そんなルイくんを真顔で見つめるシュンくん。 そりゃそうだ。シュンくんにもバレたって自分で言ってたし、それに…。 「ルイくん、ヅラ、ヅラ…。」 「えっ!?あっ!」 「さて、詳しく聞きましょうか。」 俺たちの…、主にルイくんの言い訳はシュンくん機嫌を更に悪くし、そのままリビングへ強制連行された。 「それで?ルイは何しに来たの?」 「…会いに来た…。」 「その格好で?誰に?」 「………。」 シュンくんの質問にフイッと顔を逸らして沈黙するルイくんと、それを見てふぅと息を吐くシュンくんの空気は、異様にピリピリしている。 「ルイ、その服メイのだろ。」 「………。」 「また勝手に着て出歩くなんて…、一体何考えてる?」 「………。」 少し威圧的なシュンくんを相手に黙りを決めるルイくんに、俺は内心ヒヤヒヤさせる。自分がその状況に置かれた時、すぐに謝ってしまう光景が目に浮かぶからだ。 そう思うと、ルイくんの行動がある意味勇敢すぎて感心してしまう。 それから暫く、シュンくんは説教モードだったが、聞いてるのか聞いてないのかわからないルイくんの態度を見て、怒るのをやめた。 「はぁ…、とりあえず僕の服貸すから、早く着替え…」 「やだ。」 やれやれと言うような顔をして立ち上がったシュンくんが、ルイくんの言葉にピタリと動きを止める。 「…なに?」 「着替えない。やだ。」 「なんで?」 「………。」 「なんでか聞いてるんだけど。」 シュンの声のトーンが一段と低くなった。 その声に俺は肩をビクつかせるが、ルイくんは知らん顔でそっぽを向いている。 本当、肝座ってんなぁ…と思うと同時に、ルイくんの態度がシュンくんの起爆剤になりませんようにと願うしかなかった。

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