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Page70:SMはランニング
「ぅ、やめぇ…っ、ひン…ッ!」
「んー、どうした、イッちまいそうか?」
「も、ゆるして、してくださ…っ、」
もう耐えられない。
媚薬を飲まされ鞭で叩かれることも、実の父に乳首を吸われてイキそうなことも、全てがもう、俺には無理だった。
「んだよ、もう限界か?仕方ねぇな。じゃあ、お前がちゃんと『気持ちいい』って言えたら、終わらせてやるよ。」
「ぅ、ほ、ほんと、に…っ?」
「あぁ。」
気持ちいいと言えば、終わる…。それだけを言えば…。
「っぁ、ん!」
再び始まった乳首への愛撫にびくんっと体が反応する。ちゅうっと吸い上げられた時、俺は言おうとした。
「き、きもち…っひぎぃ!?」
途端、乳首をギリギリと噛まれ、悲鳴に近い喘ぎ声を出し、俺の声は言葉にならなかった。
「ぅあ゛っ!いだ…っ!!いだぃっ、ぁあっ!」
噛み千切られるんじゃないかと思うほどの激痛に加え、止まっていたはずの鞭が再び俺の背中をバシッ!と打ち始めた。
それと同時に、一条の手が俺の股間に伸びて、軽く握ると一定のリズムで扱きだす。
「ほらほら、どうした、言えよ。」
「ぃぁあっ!やらっ、やぁっあ゛ぁ゛!」
痛いのか、気持ちいいのか、もうわけがわからない。俺の乳首は血が滲み、それをヂュウと吸われるだけで、その痛みが微かな快感に変わっていく。
「終わりたいんだろ?ほら、ほらっ!」
「ぅあぁ!待っ…、はや、ぁアッ!」
ぐちゅぐちゅっと一層手を速めて、絶頂を誘う。
その間も乳首と背中の激痛は相変わらずで、頭がおかしくなりそうだった。
けど媚薬のせいか、俺にも限界がきて…。
「い、いく、もういぐぅ…っ!」
「イく前に言うことあんだろ?」
「あっあっ、き、きもち、いいっ!きもちぃ、からぁっ!いく、っん…ぁああッ!!」
俺は世界で一番大嫌いな人の手の中で、とうとう達してしまった。
「…ここからは歩いて帰れ。」
SMクラブを後にし、いつもの公園に着き車から降りる。
「今日は初めてっつーことで色々大目に見たが、次からはこんなもんじゃねーからな。明日、いつもの時間にここに来い。」
「っあ、あしたも、やん、の…っ?」
「当たり前だろ、本番撮影は明後日だからな。今日使った媚薬より少し強めのものを使うから、多少痛くてもすぐ良くなる。今日使ったやつ、まだ抜け切れてないなら、家で二、三発抜いておけ。明日に支障が出る。」
一条は言いたい事だけ口早に言うと、さっさと帰って行った。
全身が痛くて、だるい。そのくせ熱くて疼く。
「鞭とか…っんとに…、ばかじゃ、ねぇのっ、クソやろう…。」
思い出しただけでも涙が出そうだったが、俺にはこれからやるべきことがある。泣いてる暇なんてない。
「た、ただいまーっ!」
「あら、ナオ?おかえり〜!」
玄関を開けると母さんがリビングから顔を出す。優しい微笑みにものすごく安心した。
「…ナオ、顔赤いわよ?どうしたの?」
「っえ、あ、これは、その…、あれだよ、あれ。最近太ってきたから隣町まで走ってたからっ!」
「隣町まで走ってきたの!?結構距離あるじゃない!」
「う、うん、とちゅうで、休憩とか、してたら遅くなった…!」
「汗と息切れすごいわよ?あんま無理しないでね。」
「うん、だい、じょぶだよ…。俺、風呂入ってくるっ!」
そう言うと母さんは「ご飯の支度しとくわね」とリビングへ戻って行く。なんとか誤魔化すことができ、ホッとした。
とりあえず薬を抜かなきゃと思った俺は、足元をフラつかせながら風呂場へ向かう。
「じゃあ僕、部屋で勉強するので。」
その途中、今度はシュンくんがリビングから出てきた。
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