汚れたところを拭き、ティッシュをゴミ箱に捨てる。 「さて、そろそろ下に行…っ！？」 ベッドから降りようとした時、グイッと引っ張られバランスを崩した俺は、後ろから抱き締められる形でシュンくんの腕の中に収まった。 「そんなおっ勃たせて下行くの？」 「ひ…っ！？」 シュンくんがポソッと囁き、耳にかかる息と、ズボン越しから緩く上下にスライドさせる手に肩を震わす。 「ぁっ、ちが、トイレで出してから…っ！ちょっと待って…、触っちゃ、や…ッ！」 「へぇ？僕がいるのに、一人でするつもりだったんだ？」 「ンンッ、だっ、て…っ、」 「だって？」 手をピタリと止めて、楽し気な顔をしながら俺の言葉を待つシュンくん。「意地悪だな…」なんて思いながら小さく口を開く。 「だ、だって、今シュンくんにされたら…、すぐいっちゃうもん……！」 それが恥ずかしい…と両手で顔を隠しながら素直に言う。実を言うと、人生で初めて、フェラしながらイキそうになった。 そんな俺が今シュンくんに触られたら、秒殺してしまうに違いない。 「ナオくんさー…それ計算？それとも天然？…どっちにしろ、タチが悪いよ。」 「へ…っ？」 「まぁでも、早いなら好都合だ。ほら、脱いでこっち座って。」 「わわ…っ！」 ズボンとパンツを一気に膝下まで脱がされ、さっきのシュンくんと同じように、壁に背を付いて座る。 「手がいい？それとも、口？」 ぺろっと自分の唇を舐めるシュンくんの真っ赤な舌が、すごくいやらしく見えた。 **** 「ナオくーん、いつまでそこにいるのー？」 『手がいい？それとも、口？』 「…あっち行って…。」 『どっちも、すぐいっちゃうよ…。』 「僕は本当に気にしてないよ？」 『じゃあ、ナオくんと同じ口でしてあげるよ。』 「っ俺は気にする…っ！」 『えっ、ちょっ、待…ッぁっはぁん！』←イッた 思い出すだけで恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい。 「あら？ナオはまだトイレなの？」 「あぁ、はい…。お腹痛いみたいで…。」 「ナオー？大丈夫？薬飲むー？」 「大丈夫だからぁっ！あっち行ってよぉ！」 俺が扉越しから叫ぶと、シュンくんは「僕がついてますので」と言い、母さんをリビングに戻らせる。 腹痛という設定なら、尚の事シュンくんにも向こうに行って欲しいところだが。 シュンくんに、ペロリと一舐めされて達してしまった俺の気持ちは誰にもわかるまい…。ああもう、私は貝になりたい。 「あ、ナオくん！そういえば良いものあるよ！」 トイレの中で頭を抱えていると、外からわざとらしく閃いたようなシュンくんの声が聞こえた。 「いらない…。」 とか言いつつも、少し気にしてみる。けど、ここで出てしまってはシュンくんの思うツボだし、本当にあるのかわからないので深くは追求しなかった。 「ほら、これ。ナオくんにあげるよ。」 すると俺の思ってる事を察したかのように、ガサガサッと音を鳴らされ、ありますよと言わんばかりにアピールされる。 「…別にいい…。」 あえて何かを言わないところがシュンくんらしいし、罠だってわかってる。 …だから余計に何なのか、気になってしまうではないか。 「じゃあ、トイレの前に置いておくから気が向いたら貰ってね。」 僕は向こうにいるから、と言葉と共にシュンくんの足跡が遠ざかっていくのが聞こえた。 「………。」 いや。いやいや。罠だよ、これ。俺にここを開けさせるための罠。 きっとドアの前に良いものなんかなくて、代わりにシュンくんがいるに決まってる。 ……いやでも、シュンくんの気配しないし、本当に置いてあるのかも。 「す、少し、見るだけ…なら…。」 そう思って、俺はトイレのドアノブに手をかけた。