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Page94:女々しくてツライヨォ!

俺は子供だ。自分のことを棚に上げて泣いてる。俺に責める資格なんてないくせに…。 「ぅ、ふぇ…っ、ゃ、」 でも、嫌で嫌で仕方ない…。 「ごめんね、泣かないで。」 「うっ、ぅ…っ、」 「……一度だけ、女の子とした。」 申し訳なさそうに、ポツリと呟いたシュンくんの言葉は、俺の頭に雷を落とすくらいの衝撃を与えた。 シュンくんの温もりを知ってる人がやっぱりいて、ギュッと胸の奥が締め付けられる。 自分の女々しさにも、同じくらい嫌気が差した。 「…でも、初めてした時のこと、あまり覚えてないんだ。」 「ぅ、え…っ?」 「父さんと母さんが離婚して、荒れてた時期だったからさ。だからって、してないことにはならないけど…。本当に好きな子とするのは、初めてだよ。」 シュンくんの手が、ソッと俺の頭を撫でる。 「ひ、ぐ…っ、ほ、んと…っ?」 「うん、本当。」 少し笑って、そのまま涙を拭ってくれた。 「それにさ…。」 「…!」 今度は俺の手を掴み、自分の胸に当てる。手のひらに伝わってきたのはシュンくんの鼓動で、俺と同じくらい、すごく早かった。 「ナオくん相手だと、いつもすごい緊張しちゃってんだ…。これでもいっぱいいっぱいだよ。…こんな僕を見せるのは、ナオくんだけ。」 ちょっぴり恥ずかしそうな顔をして、優しげな瞳を俺に向ける。 俺しか知らないシュンくんがちゃんといて、嬉しさが込み上げるけど、胸の痛みはまだ取れない。 「でもさ、手際とか色々良すぎない…?女の子とは一回あっても、男は初めてじゃないの…。」 疑うわけじゃないけど、やっぱりシュンくんのことは全部知りたい…。 「んー、はは、まいったな…。」 俺の質問に、困ったように笑うシュンくんを見て、何か隠してるのかなと俺の心臓が加速する。 「もちろん、男相手はナオくんが初めてだよ。傷付けたくないから、前からヤり方とか調べてたんだ。」 「え…?」 「ゴムとか、まぁ…もたついてたらカッコ悪いでしょ?まぁ、その辺はちょっと察してほしいんだけど…。」 全部、俺のために…? 「あー、ダメだなほんと。流石にこれはカッコつかないや、へへ…。」 いろいろ考えて、悩んで…。 「しゅんくん…っ!」 「わっ、」 シュンくんの首に腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。 そりゃあ、女の子としたことあるのは、今も悔しい気持ちはあるけど。 「シュンくんをカッコ悪いなんて思わないよ。俺のために、色々してくれてありがとう…!」 「ナオくん…。」 俺のためのその行動が、嬉しくない訳ない。 「俺は、シュンくんにだったら何されても嬉しいって思う。完璧じゃなくていいよ、これからはさ…俺と一緒にしていこう?」 その行動一つ一つが、全て愛しさに変わる。 完璧さなんて求めてないから、先回りしようなんて考えなくていいんだよ。 「…ほんと、ナオくんには敵わないなぁ。」 だって、完璧じゃないシュンくんだって俺には必要だから。

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