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「脅して金をもらうだけじゃなく…、それが実の父親のすることか?」
「ハッ、偉そうに。息子に働き口を与えてやって何が悪い?生意気な息子を躾して何が悪いんだよ?」
「お前のした事は親の躾でもなんでもない。ただの犯罪行為だろうが。」
散々、一条に傷付けられてきた二人。
もう二度と傷付かせない。
「自分の息子に何しようが…」
「奈央は俺の息子だ。…俺の家族に手を出した罪は、重いからな。」
「はぁ?何言って……チッ、」
一条が言いかけた時、パトカーのサイレンが聞こえた。
それは俺が前もって呼んでいたもので、その音に舌打ちをし、逃げようと一条が走り出す。
「…っ!」
「どこ行くんだ?話はまだ終わってないだろ。」
「っ離せ!」
一条の腕を掴んで動きを止めると、俺の鳩尾に勢い良く拳を入れた。
「…かっ、てぇ…ッ!」
「悪いが、そんな拳は効かないぞ。」
若い頃、自衛隊員だった父にこれでもかと言う程稽古をつけられ、扱かれてた時期があったからな。そんな生ぬるい拳なんざ、小さい子供の拳よりも軽い。
「お前に勝ち目はない。諦めろ。」
俺が足払いを決め、一条を地面に倒した所で警察官が駆け寄って来た。
「通報された、早川さんですか?」
「はい、そうです。」
一条は二人の警察官に取り押さえられながらパトカーへ連行される。
「あなたも、ご同行お願いします。」
「はい。…あ、これ。」
俺は胸ポケットからボイスレコーダーを取り出し、警察官に渡した。
「て、めぇ…!」
それを見た一条の目が一気に血走る。
「言っただろ?俺の家族に手を出した罪は重いって。」
さぁ、とことん罪を償ってもらうぞ。
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