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新学期、俺たちは三年生になった。 「おーす!ナオ!」 「あ、おはようハル!」 黒板に書かれてる名前を確認して席に着いた時、ハルが教室に入ってきた。 「あれ?ナツは?」 「まだ来てないよ。」 「だよなー。新学期だからって早く来るような奴じゃねぇよなー。」 「あははっ、安定!」 「お前ら聞こえてんぞ。」 ハルと笑いながら話していると、ナツが教室に入ってきた。 「あ、来た!」 「ナツにしては早いじゃん。」 「まぁ新学期くらいは…って、俺が毎日遅刻してるみたいじゃねーか!」 朝から俺たちの笑い声が教室に響く。 賑やかで騒がしいのも、また安定! 「三年間、一緒のクラスだな!」 にひっと笑いながらハルが言う。 クラス替えは一年から二年に上がるときの一回だけで、後はそのまま繰り上がるシステム。 だから去年、三人一緒になった時は叫びに叫びまくって怒られたっけ。 「ま、いつも通り仲良くしていこうぜ!」 ナツも笑って言うもんだから、俺も嬉しくなって「よろしく!」と言った。 「お前ら席つけー。出席とるぞー。」 教室に担任が入ってきて、その声にみんなが自分の席に着く。 ハルは俺の前。ナツは俺の後ろ。 「小波春(こなみ はる)。」 「ほーい。」 「佐伯奈央(さえき なお)。」 「へーい。」 「神藤奈津(しんどう なつ)。」 「うーい。」 「お前ら真面目に返事しろ。」 まぁ、俺たちが仲良くなったキッカケは、席が前後なだけなんだけどね! 「全員出席…と。よし、じゃあ次の授業に遅れず行けよ。」 出席名簿を閉じ、それだけ言い残して担任は出て行った。 「あー、新学期早々授業ダルすぎ。」 「確かに!午前中だけでいいのにね。」 ハルの言葉に共感し、一緒になって文句を垂れる。 「おいおい、次の授業は体育だぜ?聞いて喜べ、今日は女子合同だ。」 ナツの言葉にハルがぴくっと反応したのを俺は見逃さなかった。 「ナオくん、共に頑張ろうではないか。」 「おま…、切り替え早…。」 キリッといい顔で俺の肩に手を置くハルは、実に単純であった。 そして、それぞれ体操着を持って男子更衣室へ移動する。 「てか、三年になって女子の色気増してね?」 「溢れてるよな、果物で言う果汁が。」 「わかってるではないか!心の友よ!!」 「おうよ。ハルのことは何でもわかる。」 「うるさい、邪魔。人を挟んで語んないで。」 着替えてる最中、ハルとナツが女子の色気について盛り上がってた。 俺のロッカーの前でガッと手を握り出すもんだから、邪魔以外のなにものでもない。 「んだよ、ナオはそっけねぇなー?」 「チェリーボーイのくせに興味ないフリなんて生意気だな。」 「ほっとけ!!」 確かにナツは、顔良し根は優しいしで結構人気あるからチェリボーイじゃないと思うけど。 ハルだって、たまに空気読めないけど面倒見いいし、ノリだっていいからモテると思うけど。 「そんな会話してるから彼女ができねーんだよ」と、俺は心の中で呟きながらワイシャツを脱いだ。 「たくー、これだからナオは…って、お前相変わらずほっせー、なっ!」 「ひゃんッ!」 突然ハルにガッと腰辺りを掴まれた瞬間、高い声が室内に響き、ハルとナツはもちろん、まだ更衣室にいた少数の男子が静まり返った。

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