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「……え…?」 「………。」 「………。」 …あれ?今の声って…。 「…っお、俺!?」 自分の出した声に、一気に顔が熱くなる。 今までこんな声出した事なんて一度もなかったし、まさかあんな声自分が出せるなんて…と驚いた。 「ナオ、お前…。」 「えっ!?いやっ、違うよ!?別にアレだよ!?ちょっとビックリしたって言うか!」 少し沈黙した後、口を開いたハルも驚きの表情で俺を見ていて、急いで否定した。 「ひゃんって…どっから声出したんだよ…。」 「いや!?言ってないよ!?そんな声だしてないよ!?ウオォ!!みたいな感じだったよね!?」 ハルと同じ表情をしてるナツにも必死になる。 「や、でも確かに…。」 「なぁ…?」 「わー!もう時間だー!はやく着替えるぞー!ハルもナツも着替えて着替えて!!」 「お、おう…。」 「………。」 掘り返されると余計に顔から火が出そうで、話を逸らすかのように二人も着替えるよう催促する。 「準備できたか!?行くぞー!ハハハハ!」 なんて無理矢理笑いながら二人と外へ出た。 「おー!女子がいるぞ、二人とも!」 「おお!本当だ!女子だ!」 俺がグラウンドにいる女子を指差すと、早速ハルが食いついた。目をキラキラさせ「揺れ乳!揺れ乳!」と言って騒ぎ出す。 あぁ、こいつは本当に単純でよかった!問題はさっきから黙りこくるナツだけ! 「ナ、ナツ!お前も見てみろよ!」 「問題ない、もう見てる。」 無反応なナツに無理矢理笑顔を作って振り向くと、びっくりするくらい真顔で女子を見ていた。 「ア、ソッスカ。」 そして俺は思う。 こいつも単純だったんだなと。 「ナツ!今日の女子は胸がでかい子いっぱいだな!」 「あぁ、当たりだ!」 「揺れ乳たくさん拝もうな!!」 「あぁ、当たり前だ!」 単純馬鹿で俺は嬉しい! 女子との合同体育は何とかいつも通りの雰囲気で終えることができ、午前の授業も普段通りで、更衣室での出来事は記憶から徐々に薄れていった。 「やっとお昼ー!!お腹すいたぁ!!」 授業が終わり、ぐぐーっと身体を伸ばす。腹がペコペコでご飯が楽しみで仕方ない。 「購買行こうぜ!」 そう言いながらハルが鞄から財布を取り出し、尻ポケットに入れる。 俺とナツは「おう!」返事をして、一緒に教室を出た。 「なぁなぁ、今日の昼飯、屋上行かねえ?」 購買へ向かってる途中、突然ナツが言い出した。それには俺もハルもキョトンとする。 確かに屋上は、高校生定番の憧れだが…。 「でも、立ち入り禁止で入れないんじゃ…?」 この高校は施錠されていて、入れないようになっていた。 「ちゃんと対策があるに決まってるだろ!」 じゃーん!とナツが俺たちに見せたのは、少し小さめの細い針金だった。 「おお!さすがナツ!天才だ!!」 「はっはっは!もっと褒めてくれてもいいのだよ、ハルくん。」 「えー、見つかったら怒られるじゃん…。」 「ナオ、貴様はもっとチャレンジ精神を磨け。」 仙人のような喋り方で俺の肩にポンと手を置くナツ。 そんなこと言われたって…とぼやくが、二人はもう行く気満々で止めようがない。 「早く飯買って屋上行こうぜ!」 「おー!!」 「はぁ…、たく、しょうがないな…。」 やれやれと呆れながらも俺は二人に付き合うことを決めた。 …この時、俺がちゃんと止めていれば、未来は少しでも変わっていたのかな…。

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