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「よし、開けるぞ。」
購買でパンを買った俺たちは、早速屋上の入り口へ来た。
ナツが南京錠に針金を入れ、開けようとする。
「頑張れ!ナツ!」
「無理はするなよ!開かなかったら潔く諦めような!?」
「おい、ナオ!ちゃんとナツを応援しろよ!」
「ハルこそ、もっと冷静になれよ!もし壊して先生に見つかったら器物破損で賠償金とか…」
「あ、開いた。」
「「え?」」
あまりの早さに俺とハルが気の抜けた声を出しながらナツを見ると、ナツはドアノブに手をかけていてた。
そしてガチャッとドアを開ける。
「うおお!開いた!屋上だぁ!!」
ふわりと入ってきた心地いい風に、ハルが目を輝かせ真っ先に屋上へと飛び出していった。
まさか、こんな簡単に…。
「…?ナツ?」
ふとナツに視線を向けると、ナツは開いた南京錠を手に持ち、不審そうな顔を浮かべそれを見ていた。
「どうかした?」
「いや、やけに簡単に開いたなって…。」
「二人ともー!!早くー!!」
ナツの声に被せて、ハルが俺たちを呼んだ。
「…でもまぁ、こんなもんか。今行くー!」
ナツは南京錠をポケットにしまうと、ハルの元へと駆けて行く。
俺は何かが引っかかる感じにモヤッとしたが、「ナオも来い!」と楽しそうなハルたちの声に釣られ屋上へと足を踏み入れた。
適当な場所に座って、買ってきた昼飯を食べる。今日は天気が良いから風が気持ちいい。
「青空の下で食べる飯は美味いな〜!こんないい場所、三年間も知らなかったとか損してたぜ!」
ハルの言葉に、俺とナツはウンウンと頷いた。
「ここで昼寝とかしたらもっと気持ちいいんだろうなぁ!」
「ナオ、次の授業サボる気満々だな。」
「そういうナツだって、寝るならここがいいって思ってるくせに〜!」
「否定はしない。」
人生初めての屋上に、三人でキャッキャッとはしゃぐ。
今俺たち、めっちゃ青春謳歌してる!なんて思いながら昼飯を食べ終えた。
「なぁなぁ、ナオもナツも彼女作んねーの?」
爽やかな風にポケーとしてたら、不意にハルが言った。
「あー?俺はめんどくせぇから、そういうのいいわ。」
「ナツはいつも冷めてるよなー。特定の人も作らないし。ナオは?」
「んー、ほしいっちゃほしいけど…、」
「「できねぇもんな〜!」」
「ハモるな!!」
俺を指差し、二人して笑う。そんな二人にカァッと顔を赤くしながら怒った。
「俺は作らないの!もう三年だし、受験だし、同じ大学に行けなかったら…、」
「へぇー?」
「ふーん?」
「うっぜぇ!!」
ニヤニヤしながら人の話を真面目に聞こうとしないハルとナツの肩を軽くパンチした。
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