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「てか、この中で童貞なのお前だけだよな?」
ナツは笑いながら俺を見る。
パンチを食らわしたのにまだ懲りていないようで、フンッとそっぽを向く。
「ええ!?ナオくん童貞!?」
「ハルうぜぇ!!」
大げさに驚いたフリをするハルをスルー出来ず、つい反応してしまった。
俺が怒れば怒るほど、二人は楽しくて仕方ないという目で俺を見ては笑う。
そんな二人を睨みつけて、パックジュースを飲み干した。
「よし!そんな童貞くんに、彼女のリードの仕方をハル様が伝授してやろう!」
「はぁ?なんだそれ。」
「ナオに彼女ができた時、困らないように!」
「いや、いらねぇから!こっち来んな!」
じりじり近付いてくるハルから逃げるように俺も後ずさる。
「ほらナオ〜そこは素直に教わっとけ〜。」
面白そうに俺たちを見るナツは、絶対ハルを止めてくれないだろうと確信し、「あとで覚えてろよ」と心の中で呟く。
「いいかナオ。部屋で彼女と二人きりになった時はな…、」
「いや、本当にいいから!別に大丈夫!」
「まずムードを作ってベッドに誘う!」
俺の言葉を無視して喋り続けるハルは、いつの間にか俺のすぐ目の前まで来ていて。
「ゲ、まじかよ…。」
ガシャンと背中にフェンスが当たり、逃げ場をなくした俺は、もうハルの話を聞かざるを得なかった。
「相手のガードが緩くなった時、さりげなーくベッドに座って隣をポンポンと叩くと、大抵来る!」
「…はぁ、それで?」
「それで隣に来た時、相手の表情でイケると思ったら、」
「…っ!?」
突然、スルッと俺の頬を撫でるように触るハル。
「こうして、キス!」
「ひ…っ!」
ズイッと更に顔を近付けるもんだから思わず声を出してしまった。
「ひって、酷いな…。」
「や、ごめん、びっくりして…。」
むぅ、と頬を膨らませたハルに謝る。
いや俺が謝るのも変だけどな!?
「まぁいい、続けるぞ!それでな、相手と深いキスを交わしてる間にベッドに押し倒す!ちなみにここもさりげなくだ!」
「っうわ!?ちょ、なに!?」
ハルは俺の足を掴んで引っ張り、仰向けにするように俺を寝かせる。
「態勢はこんな感じがいいぞ!」
と、なんの躊躇いもなく脚と脚の間に体を入れて俺の上で笑った。
「…いや、なにこの絵面!?やばくね!?」
「今はお前が彼女役だからいいの!」
「いやいやよくねぇよ!っちょ、ナツ!」
バッと横を見るとナツは下を向き口元に手を当て震えていた。
「笑ってんじゃねぇよ!」
「コラ!よそ見しない!」
「いや、お前はちょっとは恥ずかしがれ!」
なんで野郎二人がこんな態勢になってるのに平然としていられるわけ!?俺が変なの!?童貞だから!?
「ナオの初えっち成功のためだ!」
「その気持ちだけで十分だよ!」
「あっはっは!いいぞハル、もっとやれ!」
「助ける気ないなら黙ってろナツ!」
完全にハルのおもちゃになった俺は、羞恥に耐えながら早く終われと祈る。
「そして、キスで相手がメロメロになってきたと思ったら、この辺を…。」
「ひゃ…っ!」
脇腹辺りを触れられた瞬間"あの時"に近い声が出た。
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