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「あの、すいません。」
「はい、どうされました?」
「この本、探してるんですけど…。」
翌日、バイト中に綺麗なお姉さんが小さいメモ用紙を見せてきた。
「えーっと、これは…、ちょっとお調べしますのでお時間頂いてもよろしいですか?」
まだ店内の本を把握しきれてない俺は、調べないとわからないため、そのメモを受け取る。
「あっ、はい…!よろしくお願いします。」
「では、少々お待ち下さ…」
「それなら、こちらにありますよ。」
「えっ、あっ、ユウシくん…!」
急に背後から声がして振り向くと、ニコッと笑うユウシくんが立っていた。
「本当ですか!?」
「はい、ご案内致します。…ナオ、バックヤードにいるハルと交代して、返品した後ランキング一覧出してきて。」
「あっ、はい!」
コソッとそう言った後、ユウシくんは女の人を案内しに行き、俺はハルの元へ向かった。
「あ、ナオじゃん。どうした?」
顔を覗かせると、パソコンで作業していたハルが俺に気が付く。
「えっと、ユウシくんがハルと交代しろって…、返品とランキング一覧…。」
「おー、そかそか。じゃあ頼むわ!俺、発注表書かねぇといけないからさ!」
あとよろしくな!と言って、ハルはバックヤードを後にし、俺はハルがいた場所に座って作業をやり始めた。
「ナオー?出来たかー?」
それからしばらくして、ユウシくんが入って来た。
「うん!返品終わって、あとはランキング一覧を印刷するだけ!」
「おー、上出来上出来。」
「まぁ、半分以上ハルがやってくれてたんだけどね!」
へへっと笑いながら隣に立つユウシくんを見上げると、何故か俺を見つめたまま黙ってしまった。
「…?どうしたの、ユウシく…っぅわ!!」
不思議に思い、ユウシくんに声をかけようとした瞬間、突然手首を掴まれ、一人用のスペースがカーテンで覆われている少し狭い空間に連れ込まれた。
そこはスタッフが私服に着替えたりする場所で、試着室みたいな所だ。
「ユウ、シ…くん…?」
「お前さ、それわかっててやってる?」
「は…?」
質問の理解ができず、言葉が上手く出て来なかった俺はユウシくんを見つめる。
「無自覚かよ…。」
そんな俺を見て、ため息をつきながらガシガシと頭を掻いた。
いや、本当に意味がわからない。ユウシくんが言ってる事も、そう言われる理由も、この状況も。それに、この雰囲気はなんか…。
「えっと…、俺、戻らなきゃ…っ!」
「なぁ、ナオ。」
「わ…っ、ちょっ!?」
外に行こうとした俺の腕を引っ張り壁に押し当てると、ユウシくんはすかさず脚と脚の間に膝を入れてきた。
「ぁっ、やだっ、なに…っ!?」
そのまま股間を押し上げられ、思わず前屈みになる。生理現象だとしてもこんな状況で勃起するのは嫌で、必死にユウシくんが動かないように抑えた。
「そんなんだと食われるぞ、お前。」
「や、め…っんひ…ッ!」
たけど体制が体制で、力も上手く入らない俺が止めることなんて出来るはずもなく、その刺激に耐えるしかなった。
「は、ぁっ、ゃッ…!」
「…感じてんの?」
だんだん荒くなっていく息に、ユウシくんはニヤリと笑い、膝に力を入れてさっきよりも刺激を強くしてきた。
そのせいで、俺のは徐々に硬さを増してく。
「ひっ、ン…ッ、も、ゆるして…っ!」
こんな所でイきたくないし、誰かに見られたらと思うと気が気じゃなくて、俺はユウシくんにしがみ付いて必死に許しを請う。
「なに、イきそうなの?」
「ん…っ、やぁっ!」
クスッと楽しそうに笑い、律動を早くする。
ピクピクと内腿が震え、ユウシくんの服をギュッと握り締めた時。
「ユウシくーん?ナオー?」
ハルの声が聞こえた。
「…チッ、タイミング悪りぃな。」
小声でボソッと呟いたユウシくんは、眉間にシワを寄せながらも「先行ってるからな」と言い捨て、早々とバックヤードを後にする。
「…ゥッ、おぇ…っ、」
一人残された俺は、ユウシくんにされた事への気持ち悪さで吐き気に襲われ、しばらく蹲っていた。
こんなことする関係を、一度だって望んだことなんてない。なのに、なんで俺はこうなってしまうのだろう…。
「…クソ…ッ!」
これから先も、またこんな思いをすることがあるかもしれないと思うと不安と嫌悪感でいっぱいになった。
それからユウシくんとは極力二人きりにならないように避けて、避けて…。
「お世話に、なりました。」
俺は無理言って約束の期間より早めに本屋を辞めた。
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