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Page137:夜這い宣告

欲張って、欲張って、手に入れても、まだ欲張ってる。 同じ家に住んでて、親にだって認めてもらえて、これからもずっと一緒にいられる…のに。 「あーっと、シュンくん、これから勉強する?じゃあ俺、ゲームしようかな!」 一分一秒だってシュンくんと離れるのが嫌だとか、なんだか女々しくて…それ以上に依存しすぎている自分が情けなくて、ちゃんと距離を取ることも大切だと、自分に言い聞かせた。 「ナオくん。」 「ん!?あ、ごめん!すぐ出て…」 「ナオ。」 「へっ?」 部屋を出ようとドアノブに手をかけた瞬間、呼び捨てで名前を呼ばれ、少し驚きながら振り向くと、口角を上げ俺をジッと見つめるシュンくんがいた。 「なーに色々自己完結してんの。」 「え…、シュ、ン…くん?」 「ほら、こっちおいで。」 優しい口調で、さっきまでとは少し違う雰囲気を纏いながら、両手を軽く広げて俺が来るのを待つ。 「…シュン…っわ、」 戸惑いつつも、言われるがまま目の前まで行くと、ふわっとシュンくんに包まれるように抱き締められ、頭をヨシヨシと撫でられた。 「僕はね、今すごく幸せなんだよ。ナオくんと付き合えたこと、それを認めてもらえたこと…本当に、怖いくらい幸せだ。」 「…うん。」 「でも、やっぱり…親は親だからさ。二人の前では、ちゃんと息子でいたいなって。」 シュンくんに言われて、ハッとした。 二人からしたら俺たちは息子。付き合いが認められたからって、調子乗るのも良くない。 「…そうだね。うん、このままでいよ!やっぱり、ちゃんと距離も取らなきゃダメだしね!」 寂しさはあるけど、わがままも言ってられない!と自分の中で納得し、へらっと笑ってシュンくんから離れようとした時だった。 「っあーもう!」 「うぉおっ!?なんやなんやっ!?」 頭をガッと掴まれたと思ったら、ぐしゃぐしゃと髪の毛をかき乱され、俺は訳がわからず固まる。 「かわいすぎかよー…もー、どんだけ寂しがり屋なんだ君はー!」 「え、えぇ?…んむっ…!」 頭にハテナマークを浮かべていると、シュンくんの手がピタリと止まり、今度は俺の口を摘んだ。 「…ふふっ、」 「う…?」 「好きだよ。」 「…ッン、」 チュッとキスをされ、俺の頭の中は余計に「シュンくん、一体どうしたんだろう…」という疑問でいっぱいになる。 「ン…ッ、んっ、ひょ、ひゅんふ…っ!」 「んー?」 「…っしゅとーっぷ!!!」 やめる気配がなく、ちゅっちゅっと何度もキスしてくるシュンくんの肩を押すと、口元の手が離れた。 「"しゅとっぷ"って…ハハッ、可愛いなぁ。」 「な…っ!シュンくんが口摘むからじゃん!」 赤ちゃん言葉みたいになってしまい、更にそれをツッコまれて、俺は顔を赤くしながら怒る。 するとシュンくんは「ごめんごめん」と謝りながら俺の頭を撫でた。 「…今日、いつもとなんか違う…。」 「ん?そう?」 「だって…、いつもの百倍くらい俺に甘い気がする…。」 シュンくんの纏う空気が、いつもより濃いピンク色というか…なんというか…。 「んー?嬉しいからじゃん?」 「…っ、」 そう言ってシュンくんは両手で俺の頬を包み込むと、コツンと額を当てては、嬉しそうにはにかんだ。 その赤く染まった頬を見て、その熱が移ったかのように、俺の頬もじわじわと熱くなる。 「僕、ナオくんと家族になれて…本当に幸せだ。」 大好きな人からの"幸せ"なんて、嬉しい事この上ない。 だって、俺がちゃんと幸せにしてるって実感できるから。 「うへへっ、そんなの俺もだよ!」 頬に触れるシュンくんの手に自分の手を重ねて、お互い、幸せを噛みしめるように笑い合った。 「ところでナオくん。」 「うん?」 「今夜、夜這いしに行くから寝ないで待っててね。」 「えっ!?よば…!?」 「一人エッチも禁止。」 「…っ、しょ、承知した…!!」 夜はもっぱら恋人モードのシュンくんでした。

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