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Page144:PCはソッ閉じが基本
それからまた、俺たちにいつもの日常が流れた。
父さん母さんは仕事、シュンくんは学校、そして俺は家でゴロゴロしてるニート。
「ただいまー。」
「あっ、シュンくん!おかえりー!」
「はい、ナオくんにお土産〜。」
「お土産!?ありがとう!…あっ、みかんゼリーだ〜!」
「なんか急に食べたくなって…、一緒に食べよう!部屋に荷物置いてくるから、ナオくんは用意しといて!」
「わかった!」
わーい!と喜んで、テーブルにゼリーとスプーンを並べて目をキラキラさせて待った。
だが、十分近く経ってもシュンくんは部屋に行ったきり戻って来ない。
「…?遅いな。…シュンくーん?」
名前を呼ぶが返事はなく、不思議に思いながらと二階へ上がると、俺の部屋の扉が少し開いていて、その隙間からシュンくんが見えた。
「俺の部屋で何して……って、うわあっ!?」
中に入ろうとした時、シュンくんが俺のパソコンをジッと見ているのがわかり、慌てて飛び込む。
「あ、ナオく…」
「ななななっ、何してんの!?」
バッと隠すように、パソコンの画面を抱き締める形でシュンくんの前に出た。焦る俺を、ニヤニヤしながら見るシュンくん。
「………見たの…?」
「…えへへ!」
恐る恐る聞くと、戯けたように微笑まれた。それは肯定を意味しており、俺は顔面を蒼白させた後、真っ赤にさせる。
「なっ、なん、なんで勝手に見るの…!?」
「いやぁ、わざとじゃないよ?扉が開いてて、パソコンついてて、なんとなーく目に入っちゃって……、ね?」
「だからって…!だからって見るのはダメでしょう!?」
「あっ、全部は見てないよ!でも勝手に見てごめんね?…意外だったからさ、ナオくんが日記書いてるの。」
シュンくんが見たもの…それは、俺の日記。
家にいる時間が長い俺は、ただなんとなく、日々の出来事を綴っていた。
書き始めたのはシュンくんと家族になってすぐのため、内容は自分の事よりもシュンくんの事を中心に書いていたわけで……。
つまり、シュンくんに見られるのが一番恥ずかしい。
「あっ、あぁ〜…、もう、なんで……、電源落とせよ俺〜!」
「いっぱい愛の告白されてるみたいで嬉しかったよ?」
「…!!忘れて!?」
蹲って顔を真っ赤にさせる俺は、本当に穴があったら入りたい状況だった。
でも、そんな俺を他所にシュンくんは嬉しそうで…、なんだか複雑な気分。
「でもこの日記、タイトル付いてないね?」
「この際タイトルなんてどうでもいいよぉ…、それよりもシュンくんの記憶を消したい…。」
「えー?付けようよ。折角、僕のことたくさん書いてくれてたんだから。」
「うぅ、シュンくんが悪魔すぎて辛いぃ…。」
羞恥で頭がおかしくなりそうな俺なんてお構いなしに、タイトルを考え出すシュンくん。
そんなマイペースなシュンくんに、いつまでものたうち回るのが馬鹿らしくも思えてきた。
「うーん、『ナオとシュンのラブラブ日記』なんてのはどう?」
「却下!!ラブラブ日記なんて書いたつもりないしっ!」
「えー?」
「ただちょっとだけノロケが出ただけの、健全な男子の、しょーもなくて、くだらない日常だよっ!」
ラブラブ日記なんて小っ恥ずかしいことを言われ、プイッとそっぽを向く。
「んーじゃあ、『健全男子の日常』…?あまりに普通。面白みがない。却下だね。」
「別に面白みとか求めてないんだけど…。」
何故か割と真剣に考え出したシュンくんに若干付いて行けないが、今更止めようがなく俺は諦めた。
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