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第2話 突然の……。

 急ぎでクリーニングを仕上げて貰い3日後の日曜日の昼下がり、晴は書いて貰った連絡先の睦月のマンションの前まで来ていた。 (しまった、連絡してからくるべきだった)  目の前の10階建てマンションを見上げてクリーニングをしてもらったジャケットの入った紙袋の持ち手を握り絞めた。 (よし、居なければ出直せば良い。行こう)  決意を新たに歩みを進め5階に住む睦月の部屋に向けてエレベーターに乗り込んだ。  部屋の前まで来て、緊張に震える指先でチャイムを鳴らす。2度、3度と鳴らしても誰の反応も無かった。 (不味い、やっぱり留守だったか~)  晴は部屋の前で肩を落とし、1つため息を付いて肩を落とした。 (仕方ない出直そう。その前に連絡を貰えるようにメモを挟んでおけば良いか)  晴が扉の前でボディバッグの中に手を入れ中身を探っていたその時、扉からカチャリと音がした。  晴は恐る恐る音を立てた扉に近づきノブに手を伸ばした。開いた扉の先には腰にバスタオルを巻き、身体を軽く拭いただけで水滴を肌に纏って立つ睦月がいた。    晴と直接目を合わせた睦月は端正な顔で悪戯を思いついた子どものように笑った。その笑顔を見た瞬間、あの時大人の雰囲気でBarに居た時と違う可愛い空気を纏う睦月の姿に、身体の中を電気が走り抜けたのを感じた。それはときめきだった。真っ赤な顔で固まる晴を悪戯っ子のように笑う睦月は紙袋を持つ腕を掴んで自分の方に引っ張り部屋の中に引き入れた。晴の耳には後ろで大きな音を立てて閉まる扉の音が聞こえた。 「うわっ!」  引っ張られた勢いで指から弾けた紙袋が音を立てて廊下に落ち、固まったまま目を白黒させた晴は気が付くと靴も履いたまま、身体を廊下の壁に強く押さえ付けられ顎クイ状態の姿で睦月と視線を合わせていた。 (なにこれ?え、何?ドキってなんだよ僕!)  自分心の中で自分にツッコみを入れながら、瞳をせわしなく左右に彷徨わせて混乱している晴をよそに、睦月は悠然と微笑みを晴に送った。そして文句を言おうと口を開いた瞬間を狙い晴の唇を奪い深く舌を入れてきた。 「ん、……イヤ、ん、……むぅ、ん」  晴は深いキスを拒否して頭を振りながら睦月に腕で振り上げた。その腕を軽々掴んだ睦月は片腕で1つにまとめて壁に押さえつけ、どんどんキスを濃厚なモノにして晴の腕から徐々に力を奪っていった。  抵抗をしようとしていた晴の腕からは力が抜け芯を失った。いつの間にか縋るように睦月の首に両腕を巻き付け、晴はしがみつくように抱きついてキスに答え始めた。睦月も晴の身体を熱を持った腕で抱きしめ返し、お互いに立ち上がり堅くなったオスを布越しに擦り合わせた。廊下にはお互いのせわしない濡れた音と息を継ぐ音が響いていた。

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