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第4話 気の利く人
弛緩した晴の身体を1度抱きしめ額にキスを1つ落とした睦月は優しい仕草でシーツを晴の身体に被せてから全裸で部屋から出て行った。
(何やってるんだ僕は・・・まだ会って2回目の相手に盛りの付いた犬じゃないか)
晴は両手を頬に当てると顔を真っ赤にしてコントロール出来ないうめき声をあげた。
(恥ずかし過ぎる~)
晴がそんな状態の中、寝室の扉が開き睦月が入って来た。その姿は逞しい身体にバスローブを纏い男の色気を振りまきながら無造作に晴に近づいてきた。
慌てて晴はベットから飛び起きると顔を合わせないように身体にシーツを巻き付けて小さくなって睦月の脇をすり抜けようとしたがその時、晴は動きを止めて固まった。
(僕、ゴムしてって頼んでなかった~、生でしたじゃないか~。僕のバカ)
蕾に出された愛液が晴の脚を伝い落ちようとしていた。
「どうした?」
「え、なんでもない…」
晴は余計に身体を小さくすると今度こそ脚を叱咤しながら扉の方に向かおうとすると、睦月の腕が伸び晴の腕を取った。
「場所が分かるのか?」
「あ、ごめん。分からない」
「こっちだ」
晴は睦月に腕を引かれてバスルームに向かって歩き出した 睦月から漂うシャンプーの薫りと自らの状態に頬を朱に染めながら晴はバスルームは足を向けて歩き出すが、こっそり見上げ斜め後ろから睦月の横顔を盗み見た。
「ん?どうした」
「いや、何でもない」
より頬を染めて今度こそ俯いて歩き、バスルームの前までくると慌てて扉に飛びつき中へと入った。脱衣所で身体に巻き付けていたシーツを脱ぐと洗濯篭にシーツを押し込むと浴室へと足を踏みいれて、シャワーを頭から浴びた。
晴はそろそろと自らの指を蕾に当てると中に出された愛液を掻き出す為に、まだ柔らかいその中へと2本の指を優しく突き入れた。愛液が出て行く感触にあらぬ所も反応し出すが、それを押さえ込みながら晴は処理をした。
(ダメだ、冷静になれ僕)
急いで処理を終わらせると、身体を泡だらけにして洗いシャンプーまで済ませると落ち着いてきた晴がいた。浴室から出た晴は用意されているバスタオルと晴の服、新品の下着が畳んで置いてあるのを見つけた。
「畳んで用意してくれるなんてマメだな~しかもこのサイズ明らかにこの家にはないものだよな~。もしかして買いに出てくれたのか?気の利く人間だな~」
晴の口からは自然と言葉が漏れていた。
感嘆のため息をつくと着替えを済ませドライヤーを借りて髪を整え脱衣所を後にした。
ジャズの流れてくる部屋に向かう道すがらシンプルでありながら広い家に圧倒されていた。まるで睦月そのもののような部屋だった。
ジャズの流れる部屋の扉を開けるとそこにはリビングでジーンズに紺のセーターを着てソファー着寛ぐ睦月がいた。入って来た晴の姿に気が付くと、さっと立ち上がり晴の側まで近寄ってきた。
「大丈夫か?」
「あ、うん」
その姿に冷静になったはずなのに真っ赤になってろくな返事が出来ない晴がいた。晴は視線が合わせられない。
(なんだよこの人格好良すぎだろ~)
晴は無意識に首の後ろに手を当てると擦りながら部屋の中を見ていた。全体的モノトーンで纏められている室内はシックで大人な感じがした。
「送っていくよ、車で」
「えっ」
睦月は車のキーを春の前にかざしてチャラリとかざした。
「行けるか?」
「うん・・・ありがとう」
「鞄、忘れるなよ」
「あっ、ごめん」
部屋に置いたままになっていたボディーバックを受け取ると晴はそれをきつく抱きしめた。
帰ろうと思えば家まで帰れるが、力の抜けた身体は休息を求めていて、睦月の送るといる言葉は晴の心にポッと火を灯した。
車の中で晴は睦月に話かける事が出来ないほど緊張していた。
「晴、どうした?」
「いえ、大丈夫」
「なんだか変だな・・・ところで、お前年はいくつだ?」
「あ、36」
「なんだ、4つも年上か?」
「えっ!嘘!」
「嘘はこちらだ」
驚いた晴は睦月の方に思いっきり身体ごと振り向いた。ハンドルを回して右折しながらなんでもないように話す睦月に食いつくように話かける。
「4つって睦月32なの?見えない・・・」
どう見ても睦月は同じ年か年上と言える程落ち着いていた。
「失礼な奴だな~どう見ても俺の方が年下だろうが」
「どこがだよ~」
「ま、晴が幼く見えるのが悪いって事だな」
「なんだよそれ?」
その言葉に晴が睦月の肩を押すと、信号で止まった睦月は、こちらに身体を向けている晴の頭に手を回すと濃厚なキスを仕掛けて来た。
条件反射のようにそれを受け止めた晴は後ろの車に急かされるまでキスに溺れた。
「睦月のスケベ」
「お互い様だろ?」
「もう!」
いつの間にか晴の口調は砕けていた。いつもは案外人見知りであまり知らない人と打ち解けにくい晴にとって初めての経験だった。それはきっといきなりキスしてくるような睦月だからだと思っていた。
2人の他愛のない会話は晴の家に着くまで続いた。
家まで送ってもらいカフェの2階のワンルームの部屋に入ると、寒がりな晴は暖房を入れセミダブルのベッドに横になった。
「なんでかな~濃い1日だったな~」
うつ伏せから仰向けになると着替えをすることも、夕食を食べることもしないまま眠りの中に落ちて行った。
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