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第19話 束の間の時

 晴と睦月の関係の変化に続くように、雫と和樹の関係も変化を迎えていた。それを察した晴はすぐに睦月に報告をした。その夜2人で親のような思いでグラスを合わせ、幸せを願って乾杯をした。  パソコンを前に悩む晴の姿がリビングにあった。 (今のベットじゃ、明らかに2人で寝るには向かないからやっぱり買い換えるべきだな~。ならサイズはダブル?クイーン?睦月は身体が大きいからなぁ~。なるべく早くだな)  睦月が晴の部屋にお店の終わる頃に来るようになっていた。それでも身体の大きい睦月とゆっくり眠るにはベッドは狭く、ここ数日身体を合わせる事はなかった。 (別にセックスがしたくてベットを買うわけじゃないから。ただ睦月に寛いで欲しいだけだから)  そう心に言い聞かせながら、熱くなる頬の中、晴はクイーンサイズのベットの購入サイトへと進んでいった。  ベットが部屋に届いた日の睦月の喜びようは凄く、寝不足になるまで身体中をむさぼられた。晴は睦月の体力と自分の体力の違いに、自分の年齢を感じてしまった。  そんな日々も落ち着いてきた頃、お互いの部屋には、服や細々とした物が暮らしやすく置かれるようになり、生活にリズムが生まれていた。平日、睦月の仕事が早く終わる日には晴の部屋で、週末は睦月の部屋で過ごすようになっていた。 (僕も体力作りした方が良いかなぁー) 「晴ちゃん、プレンドと新作の洋梨タルト2つの注文入ったよー」 「えっ!あ、分かった」  意識を少し飛ばしながら仕事をしていた晴は、類の言葉に現実に戻ってきた。 (ヤバイ、仕事中に睦月の事を考えるのやめないと)  赤面しながらコーヒーを淹れる用意を始めた。 「晴ちゃん、恋人出来たでしょ?」 「えっ!なんで?っあち!」 「わっ。大丈夫?珍しいねそんな失敗。ただ優しく微笑むだけの晴ちゃんより僕今の晴ちゃんが好きだなぁ~。幸せが顔に出てる。こんなに分かりやすく変化するんだねー。なんだか意外だったよ。恋人が出来てもなんら変わらないのを想像してたよ~」  あっけらかんと言う類に、晴は頬を染める。晴も驚く程、今が幸せだった。こんな風に誰かと付き合うのは初めてで怖いくらいだった。ただ、その変化は類だけが気がつき、自分の幸せに酔っている雫にはその変化は伝わっていない。 「ねぇ、その恋人に会わせてよ。僕も今、恋人いるし安心でしょ?僕も会わせるしさ。ね?」 「その話、またでも良いかな~?類くん」 「なんで?」 「コーヒー入ったよ、ケーキも用意するからね」 「ちぇっ、ハーイ」  そんな平穏な日常にも晴の知らないところで不穏な風が吹き始めていた。  それは1通の手紙が届く頃には明確になっていった。

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