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第33話 プレゼント
いったん冷蔵庫に入れたクリスマスケーキに代わって先程購入したチーズを適量用意した。そうしてなんだかんだと戯れながら2人のクリスマスディナーが始まった。
「メリークリスマス、睦月」
「メリークリスマス、晴」
睦月の用意したボルドーワインで乾杯をすると、酔ってしまう前に晴はプレゼントを渡す事にした。
「睦月、これ、俺からのクリスマスプレゼント」
晴は睦月のためにデパートで用意した革財布と隆二に頼んで手に入れたバローロをを手渡した。
「開けても良いか?」
「もちろん、気に入ってもらえたら嬉しいな」
まずはじめに革財布の方を、そしてバローロの包みを開けた睦月は思いっきり破顔した。
「晴、ありがとう。凄く嬉しい。ワインの王様、バローロをもらえるとは思わなかった」
「良かった。バローロは隆二に協力してもらったんだ。とても良い物を用意してもらえた」
「そうか、それなら俺もお礼を言わないとな。それでこれを晴と2人で祝いの日に飲みたい。約束してくれないか?どうか俺と2人で飲んでくれ」
「睦月、それは俺が願いたい事だよ。一緒にそのワインを味わおうね」
晴もこの日一番の笑顔を睦月に向けた。
「俺からもプレゼント受け取って欲しい」
立ち上がってコートの内ポケットから縦長のブルーの包みを取り出して晴の側に座り直し、包みを手渡して来た。
「僕も開けてみて良い?」
「もちろんだ」
包装を開けて見ると透明なジュエリーケースが出てきた。中にはプレート型のネックレスが見えた。開いて手に取ると晴の誕生石であるサファイアがついていた。
「これって……」
「俺たちの初めての記念の日だから奮発してみた。その石には『神の恩恵を受ける』って意味があるらしいぞ」
言葉を無くした晴は裏返すとそこには文字が彫ってあった。
「この文字の意味は?」
「それか?それはラテン語で『amo te(アモー・テ)』俺の『amas me(アマーヌ・メー)』の対になってる」
そう言って睦月は朝には付けていなかったネックレスのプレートを部屋着の中から取り出した。そこには晴と違い石はついていなかった。
「対?」
「そうだ。お前に渡したのは『私は貴方を愛する』俺のは『貴方は私を愛する』ってなる。俺たちに似合っていると思わないか?」
「うん、うん……」
晴の頬には涙が流れた。こんなにも幸せの涙は初めてだった。
優しくて暖かな時間が流れた。心から全身に晴は睦月からの愛が漲り全てを受け取った。初めて心を形で示されるプレゼントをされ、愛されている実感を受け取り、全てが睦月に染まったと実感した。
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