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第35話 電話
新年も明けて通常の日常が戻ったある日、カフェを開いていて類と雫の交代の時間が近づいていた時に、雫から電話が入った。
「お待たせしました。カフェ・ランザです」
『あの、ごめんなさい月嶋です。急なんですけど、今日は休ませてください。お願いします』
「構わないけど、何かあったの?」
『いえ、あのちょっと……急に予定が入ってしまって、本当にごめんなさい。』
「分かったよ、雫くん。いつも頑張ってくれているから、大丈夫だよ。気を付けてね」
『はい、ありがとうございます。類さんにもよろしくお伝えください。お願いします』
「分かったよ、じゃあね。またね雫くん」
電話から焦りを感じた晴は電話を切るように話を持っていった。それでもその電話から、なんだかいつもなら感じない嫌な予感が頭をよぎった。
「類くん、急用で雫くん来られなくなったから、時間が来たら気にしないであがってね」
「えっ、そしたら晴ちゃん大変じゃん!」
「大丈夫だよ、たまには1人でのんびりとお客様と向き合うよ~」
「そうなの?もし、忙しい時は連絡するって約束してくれる?」
「大袈裟だよ~。分かったよ、約束します。ねっ、類くん」
「よし。じゃあ、今日は時間が来たら失礼するね」
「うん。今日もありがとう」
類が帰った後、久しぶりの1人での接客を楽しんだ後、カフェを閉めて部屋に戻りるとソファに身を預けた。
程よい疲れが心地良かった。
その時の晴は、雫の電話の時に感じた嫌な予感の事を忘れていた。
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