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第41話 欲求不満?

 あれから睦月と会えていなかった。本人からも忙しくなるから会えないと言われたが、本音を言うなら少しで良いから会いたい、触れたい、キスしたい。睦月の為に用意した大きなベッドに転がって枕を抱きしめてゴロンゴロンと転がった。 (ああもう、欲求不満か!こんなの僕らしくないじゃん。せっかくの日曜日だし買い物でもして気分転換するぞ。よし)  気合いを入れてベッドから起き上がると着換えをして外に出かけた。  久しぶりに草加くんのセレクトショップに訪れる事にした。毎年冬前には必ず顔を出していたのに今年はすっかりご無沙汰になってしまっていた。きっと嫌味の1つも言われるはずだ。 「またまたご無沙汰でしたね、彼氏に夢中で忘れてるのかと思っていましたよ」 「ごめんね草加くん。ちょっとバタバタしちゃった」 「で、今日は欲求不満な顔してますよー」 「えっ!」 「会いたい、会いたい。って感じかな。俺この辺間違わないんですよね~」  セーターのたたみ直しをしながらにこやかに図星を指されてしまった。ぐうの根も出ない。こんな時は買い物だ! 「ねぇ、僕ね今年はチェスターコートを買おうと思って着たんだけど良いの入っているかな?出来たらこのニットにコーディネートしたいんだけど。どうかな」 「誰に言ってるんですか?ちゃんと三山さんの好みに合う商品は入荷済みですよ。その気に入ってもらっているニットも誰のオススメですか?」 「ご、ごめんなさい」 「分かれば良いです」  本当に草加くんにはいつも頭が上がらない。早速、晴のサイズのチェスターコートを用意してくれた。それに袖を通して鏡の前に立てば、文句の付けようがないコートだった。ハイネックのシトロングリーン(うぐいす色)のニットにダークグレイの色合いは完璧だった。 「草加くんは本当に似合うのを用意してくれるから安心できるよ」 「惚れ直しましたか?今からでも俺に乗り換えても良いですよ?」 「またまた~」  コートを脱がせてもらいながら、晴は後ろから身ぐるみを剥がされそうな気配を感じて振り向くと悪い笑みを浮かべる草加くんがいた。 「本当に草加くんは口が上手いよね~」 「お褒めにあずかり、ありがとうございます。お包みしても良いですか?」 「いや、褒めてないからね~。よろしくお願いします」    キャッシャーでカードで支払いを済ませるとテキパキと包装してショップバックに入れてくれた。それから10分ほど話をしていると、他のお客様の来店に合わせて店を後にした。

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