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第47話 楽しみ
翌日、朝からケーキを焼いていると類くんが出勤してきた。
「おはよう、類くん」
「おはよう、晴ちゃん。旦那さんの許可出た?」
「旦那さんって、今週末じゃや無ければ来てもらっても構わないって言ってたよ」
「やった、やっぱり晴ちゃんの旦那さんは理解あるね~。僕の彼も連れて行きたいけど人見知りだから嫌がるだろうな~」
「人見知りなら仕方がないよ」
「雫くんのところはカップルで来ると思うけど良いんだよね?」
「今更何を言ってるの。もうその予定をしてるよ」
話しながらもホールのモンブランを仕上げて切り分けると、ショーケースに並べて、出来上がったその他のケーキも順番に並べていった。
「さぁ、今日も一日よろしくお願いしますね、類くん」
「は~い」
カフェをオープンさせて一日が始まる。あと4日すれば星空の下、天気予報は晴天の予報。今は週末目指して仕事をするだけ。晴は楽しみがあると仕事もやる気が出る物だと実感をした。
土曜日───
「ただいま、今から出発しよう」
「晴、落ち着け。ママからサンドイッチを作ってもらったからこれを食べてから行こう」
「うわ~、ママのお店に行ってきてくれたの?僕も行きたいな~」
「ママも会いたがっていたぞ、今度行こうな」
「うん、行く、行く、レシピも教えてもらわないと。それじゃ、食べようよ睦月」
「あぁ、今日のサンドイッチはスペシャルらしいぞ!」
かごの蓋を開ければカツサンド、たまごサンド、そしてフルーツサンド、その他にも美味しそうなサンドイッチが詰め込まれていてその上パウンドケーキや、マドレーヌが入っていた。晴の口角が自然とあがった。
「凄い!さすがママ。僕、たまごサンドからいただきま~す」
「俺はカツサンドからもらうな」
「美味しい~、やっぱり習いに行かないと」
しゃべりながらも食べるスピードは速かった。黙々と2人で食事をすすめ、睦月が入れたコーヒーで喉を潤すと晴と睦月は、手を合わせてごちそうさまをした。
「もう、お腹いっぱい」
「俺もだ」
「残りは持って行くか?」
「賛成!それじゃあ、僕、用意した防寒具のチェックしてくるよ」
「それなら、車に積んでおいたぞ」
「そうなの?じゃあ、少し休憩してこの籠もって出かければ良いね」
晴は早く行きたいうずうずを我慢しながらソファに腰を下ろした。
「晴、そんなに行きたいなら車の中で休憩しようぜ」
「でも、睦月、苦しくない?」
「大丈夫、いつでも行けるぞ」
その言葉に晴は勢いよく立ち上がりカップを洗い始めた。
そんな晴の様子を睦月は微笑みながら見つめていた。
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