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「オレ昨日、ねこ動画観たんだよ。かっわいーの。飼いたいけど、うちペット不可だし」 「へーそうなんだ……でもな、膝の上に乗せられる理由を聞いたの、オレは」 「今日は春真がオレのにゃんこ」 「……嫌だ……!離せ……!」 「あーそうそう。こんな感じ。全身でイヤイヤするの、かわいいよねえー」  我ながら良い事思いついたよね。  お前のためでもあるんだよ?  エロいくせに純情ぶるとこあるじゃんお前。  オレは癒やしが欲しいじゃん。  だからコレだよ。ねこプレイ。抱きまくらの進化系。 「だからさ、おまえ今日は煩悩捨てろよ。勃起すんなよ。そういうつもりで触んじゃないからな」 「しねーよ!」 「よちよち。ぱるにゃんはご機嫌ナナメでちゅね〜」 「マジムカつく。にゃんもだけど、ぱるってなんだよ!」  あー毛を逆立てるねこだー。  本物のねこだったら愛くるしくて潰しちゃうよねこんなの。  抱きしめてるの春真で良かったね。  あれ急にグッタリしてる?ああ、テレビか。  通販やってるね──ミニ盆栽セット……それ、欲しい? 「春真大丈夫?日々の生活に疲れてんの?」 「──疲れてる。心乱されまくってるよ」 「それなら盆栽は良いかもね」 「は?なに、盆……?──他人事じゃねえんだよ。原因は秋彦だろ。なんなんだよ、お前……」 「オレ?」 「他に誰が……なに笑ってんだよ?」  自分で言ってて気付いてないの?  最近もよく聞くけど、それ学生の頃から何度も言ってるよね。 「思い出したんだよ。中1の文化祭な。セーラー服着たじゃん春真。かわいすぎて抱きしめたら、顔真っ赤にして『なんなんだよお前!』って突き飛ばされた。それで転んで、手首骨折したよねオレ。あははは」  そういえば、そうだよな──オレ、前からそんな風にお前に触りたくなること……あったな。  フラレて落ち込んでる時、お前に甘えたくなったのって──考えてみたら不思議でもなんでもないな──。 「それは……あの時は本当に……ゴメン……。いや、なんで今そんなこと──」 「──別に、懐かしくなっただけ……そんで、オレがやりたい放題するから困ってんの?お前も好きにしたっていいよ。春真だったら許せるからさ」 「ずるいんだよ、なんだよその言い方──ほんと人の迷惑考えないよな……」  また嫌そうな顔してる。かわいいよね春真。  あたま撫でてあげたら大人しくなっちゃうところもさ。 「ちょっと……春真?……サカっちゃダメだって言っただろ──」 「お前こそスケベ心起こすなよ。ねこが……じゃれてるだけだろ」  おでこ擦り付けるのは確かにねこっぽいよ?  設定に忠実なのは嬉しいけどさ。  お前のためだったのに、これじゃ逆効果じゃん。  オレが襲っちゃったら意味ないだろ。  ──ああ、自分から欲しいって思わせれば良いのか。  それなら合意の上って納得できるよねお前も。 「春真、キスしよ」 「ねことはしないだろ」 「ちゅーくらいするよ」  でもあくまで猫って言うんなら触れるだけに、しとこうか?  オレが積極的に攻めないの、もどかしそう。  そんなに唇押し付けてくるの珍しいよな。  ……楽しい。このまま応えてやらなかったらどうなんの。  ふうん。そんなにペロペロ舐めてくるくせに、舌入れてこないの。  ほんとに、ねこみたいだね。  オレがノリ気じゃないと思って、腰引けてるんだ?  じゃあさ──火が点くようにしてあげる。  オレが口開けただけで欲しそうな顔になってるくせに、なに迷うフリしてんだよ。  いいよ。早く入ってきなよ。  ちょっとあげたら必死に舌絡めてくるね、かわいい。  もうね、すぐにでもちんこ突っ込みたい。  ……いやオレさあ、頭の中そんなに性の欲望だらけじゃないはずなんだよ。  だから毎週はシてないじゃん?  なんでお前にはこんなにがっついた気持ちになるんだろうね。  ……早くオレを欲しがるところ見せてよ。 「ん、んっ────っっぅ」 「春真お前さあ──指でイくの何回目?なんで今日は、そんなに強情なんだよ」 「──は、なにが……も、いい加減……終われよ──」  それは、欲しがってるのとは違うよね。 「終われないんだよ」 「な……んで……」  訊くなよ。言ったら意味ないだろ。 「春真──」 「──っあ」  あんまり密着して腰擦り付けたら、オレがイッちゃいそうだから嫌なんだよ。  でもさあ、分かんない?  オレのこんなに入りたがってるじゃん。  男なんだから今オレがどんな感情か理解できるでしょ。  欲しいって言えよ。 「秋、彦……」 「っ……春真──」  くっそ、オレの方がおまえ欲しくて身体すっごい熱いんだけど。  なんでこんなに余裕ないんだよ。 「どうして欲しいんだよ、言えよ春真──」  かっこ悪いな。こんなの言わせるようなもんだよね。  これなら問答無用で突っ込んだほうがマシなのに、なに言ってんだよオレ。  もういいや。答えなんてどうでもいいよ。  それより目の前にあるお前の唇、(むさぼ)らせてよ。 「ふぅ──っ、う」 「ん、んん──っ」  お前も感じたんだ今のキス。  顔見れば分かるよ。やらしいもん。 「は……秋彦……もう、挿れ……ろ──秋彦の、欲しい……」 「──遅いんだよ」  オレが焦らされる側とは思わなかったんだけど。  もう泣くまで止めてやらないよ? ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  あーもう。完全に失敗だったよね。  あんなの欲しがらせたとは言えないし。  けどさあ、なんでお前はそんなに素直じゃないの。  欲しい事なんてバレバレなんだよ?  全然オレに甘えないよね。  ──オレは結構甘えてるのに。  どうしたら素直になるの。  恋人の前ならかわいく甘えんの?  だったらいっそ、オレのものになっちゃえば良いのにさ。  …………………ん?  あれオレ今、なに考えた?

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