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「はる──っん、んぁ、は」 「………ぅ?あ、秋彦、おまえ……っ」 「──やっと目が覚めた」 「なんっ……挿入(はい)っ?………っんぁ」 「うん。起きないから挿れちゃった。気が付いたらクライマックスってどう?」 「ふ、あー。っはぁ……あき、ひこぉ……」  すっげえ声震えてる。  あーちょっとこれマズイ?  泣くかな、怒るかな。  どっちにしてもさ、いいとこだからフォローは終わってからでもい? 「秋彦ぉ、むき……」 「え」 「向き……前から。顔見たい……」 「は?おまえ──」  寝ぼけてんの?  そんなの言われたことないよね。 「んっ、ふっ……すごいきもちい……あきの、きもち、い……」 「春真……?」  睡眠姦でエロスイッチ入っちゃったの?  マジで?オレより変態? 「好き……お前のセックス……容赦ないし、エロい……。オレはどうせ淫乱だから、そういうのがいい。もっとしてよ秋彦……めちゃくちゃに、して欲しいんだよ」  ……待って春真、深呼吸させてくれる?  お前まだ酔ってるよね。あと寝ぼけてる。  それに便乗、してるよね……。  これはずるい。 「バカ春真。そんなダイレクトに煽って後悔すんなよ。もうオレ止まんないよ」  言われなくてもこんなの抱き潰すよね。 「それ……いつも、だろ」  涙溜めた流し目で、薄く笑う春真なんて見たことない。逃したくないみたいに腰に脚絡めてくるし。すごい深く繋がってんのに自分でも腰振ってるし。どんだけ煽るつもりだよ。 「どうしちゃったのお前。寝てる間にちんこ突っ込まれるの興奮した?」 「それはお前だろ」 「あーうん。オレはしたよ。めっちゃ、やらしかった。今度は縛らせて」 「あ、ははっマニアック。無抵抗を(なぶ)りたいのか。別にいいけど。秋彦の好きにしなよ」  どう考えてもいつもの春真じゃない。  酒のせいで理性が解放されてるんなら、こっちが春真の本性ってことだよね。  本領発揮の春真もいいね。どころかさあ、すげえオレの好みだよ。 「お前やっぱり優しいのなんて望んでなかったんだ」 「どっちでもいいよ。言ったじゃん、秋彦のセックスが好きなの」 「なんだよ……マズイって……壊したくなるくらいかわいいよ今日の春真。今なら言えんじゃない。素直になったら?」  身体を倒して春真の目を覗き込む。角度が深くなって一層ぐちゅぐちゅと水音が際立つ。  苦しそうに喘ぎながらオレを見てる。いつもなら逸らしたり恥ずかしがったりしてるのに、殆ど睨み返してるよね。 「言うことなんてない」 「──オレがまた、恋人作ってもいいの」 「今までもそうだった」  ふはっ、強情。  こんなに身体全部で縋り付いてオレに感じちゃってるくせに。 「そうだけど──今まではこんな事してなかったでしょ」 「っんん……なら、破局するまで淫乱らしく男でも漁ってようか?おあつらえむきに網代さんもいるし」  は?ここでその名前出してくる? 「あんま挑発しないで」 「……んぅっ!っ……は……お前が、言い出した……んだよ」  ちょっとそれはダメ。  ヤりながらする話じゃない。  興奮の材料にはなるけど際どくなりすぎ。  絶対、後引くよこんなの。 「もう黙って。大人しくヤられてなよ」 「だからお前が──っ、あっ、バカっ、  強すぎ……っは、ぁ」  淫乱ってさあ、オレが言う分にはイチャイチャの延長じゃん。逆手に取って言い出したら──意味変わっちゃうでしょ。  しかもこんなタイミングで使うとか。  煽り方、間違ってんだよ。 「あっ、んうっ──あきっ、  なに怒ってんだよ──」 「別に怒ってないけど。  悪いと思うんなら謝れば」 「ごめん。謝るから──っめんって──ああっ」  それとりあえずだろ。  なにが悪いか分かってるわけじゃないよね。  そういえばさ……ちんこの根本って強く掴むとイけないよね。 「あきひこっ……なに……苦し──っ」 「オレ結構前からピークだから一回イくね。  お前はもうちょっと我慢してな。  メスイキすんのは勝手だけど」  いいよね。どうせお前めちゃくちゃにして欲しがってたし。 「っは、い……よ。好きに、しろよ」  は、よくそんなふうに言えるね。  ぐっちゃぐちゃに腰振られて、イきたくてもイかせて貰えないんだよ。それで泣いてるお前の顔に興奮してんだよオレ。  ──そんなにオレが好き?  バカなんじゃないの……優しくなんかしてやれないのに。特に今日は網代なんかに言い寄られてるお前のこと、ムカついてるからね。 「好きにするよ。そうだ、春真が上乗って。オレを気持ちよくしてイかせてよ。あとちょっとだから」  それなら寸止めしたまま、ちんこ弄ってやれるし。  向かい合って座ったオレの上に春真がゆっくり腰を下ろしてく──。(ぬめ)った感触に飲み込まれて、ぐちゅぐちゅになったお前の中が締め付けて欲しがってくる。  肩を掴んだ手が爪を立てて、苦しそうに唇噛み締めてて──視覚も感覚もすごいクる。  でもさ──もっと。 「お前じゃないんだから挿れただけじゃイけないよ。ちゃんと動いて」 「は、まだ──ちょっと待って」 「だめ。早く」  動きたくなるように、ちんこ触ってあげるから。付け根押さえて激しく扱かれるのって苦しい? 「ぅあ、あっああっ」 「ほら頑張ってよ」  上半身逸らして自分で動く春真、やらしい。  一生懸命なのに、オレはそれ見ながらお前のをしごいてるだけってのも良いよね。突き上げたくて仕方ないのが辛いと言えば辛いけど。 「やればできるじゃん。  キス、してあげるよ。おいで」 「ん、っんん──」  舌出しながら寄ってきちゃってかわいい。  もうこのままイッちゃうね。 「あき、あき──オレもう……っあ、んんぅ」  ちょっと、ナカ締めすぎ。  中途半端に出ちゃったじゃん。  それケツでイってるよね?  良いとは言ったけど。 「自分で擦り付けて、ちゃんと良くなってたんだ。やらしいよね」  はーオレ……まただ……。ブッスブスに凶悪な感情が込み上げてくるよ。これはまあ不完全燃焼だからな。 「あのさ──全然満足してないからね。  お前のリード、ヌルいんだよ」  挿入したまま押し倒された春真が不思議そうに見上げてる。 「オレまだイッてないんだって」 「んあ、っうあ……っ、速っ、  まだ、そんなの無理……っ」  それはごめんね。オレも無理。  やっぱりオレは嫌がるお前にやりたいようにする方が好き。散々待たされたんだから、思い切り叩きつけてぶち撒けるのは勘弁して。  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  最後、またやりすぎたー。  気絶するみたいに寝ちゃったね。  ……髪の毛サラサラで手触りいい。 「ん……」  あ、やべ。  もう起こす気ないから寝てていいよ。 「あきぃ……」 「あーごめん起きちゃっ──」 「ふふっ………やっ、だ……やめろよぉ……」 「…………」  いやオレ何もしてないけど。  目閉じたままクスクス笑って……あ、寝言?  ずいぶん平和そうだね。お前の夢。  大人しくオレに腕枕されて。胸に額グリグリ押し付けて。いつも勝手に後ろから抱いてるけど、本当はこうされたかった?  本心を(さら)け出してくれたらしてやるのにな、いくらでも。こんなふうにキスして、お前をじっくり甘やかしてあげるのに。

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