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第13話 声を枯らしても
柔らかい毛並みに包まれ、達してもなお止まることのない快感にシルヴィオは身を委ねた。
あまりの圧迫感に浅く呼吸を繰り返しながら、異物を飲み込む自分の身体が別物のように勝手に反応を示していることに混乱する。
こんなこと、昔無理矢理犯された時には感じなかった。あの時はベータだったからか、それともドナが運命の番いだからか。痛みもない状態も何故なのか理解ができず、目の前が文字通り真っ白な中無我夢中で目の前のドナにきつく抱きついた。
「シル、ちょっと苦しいよ」
「どな、なんで、これ」
「気持ちいい?」
優しく低い声で囁くように聞かれ、何度も頷く。ドナが笑う腹筋の動きにもまた刺激され、びくんと身体が反応した。
「俺が、シルの運命の番いだからだよ」
運命の番いだから、獣人と人間で身体のつくりが違っても痛みもなく快感だけが身体を襲う。
こんなにも気持ちいいのは運命だから。シルヴィオはドナに抱きつく腕の力を弱めることなく声を漏らす。
「おれ、うんめい?」
「そうだよ。シルは俺の運命の人。……今度でいいから、ちゃんと番いにさせてね」
頸を噛んで、番いにするのはまた今度。今はただ喰らってしまいたい。ドナはそう言外に滲ませゆっくりと腰を動かす。
圧倒的な質量のそれが律動を繰り返し、内壁を抉るように奥へ奥へと入ってくる度に圧迫感が迫り上がる。それに呼応するように喉からは嬌声が溢れ、中に何かが流れ込み中の質量が更に増していった。
「あ、っぅ」
「シル、全部挿れたい。いい?」
シルヴィオが頷く間もなくごりごりと奥であろう場所までピストンを繰り返しながら、もっと深くまで挿入したいと押し込んでくる。その間も人間の耳にも聞こえる水音に、シルヴィオはドナを止めた。
「どな、どな、もういった?」
「まぁだ。終わってほしいの?」
「ちがう、ぐちゅぐちゅって」
「人間の射精って俺達とは違うんだっけ。今はね、シルの中綺麗にしただけだよ。ちゃんと俺との赤ちゃん作れるように、他の誰かの痕消すためだから」
「おれ、どなだけのになる?」
「もうシルはとっくに俺だけのシルだよ」
シルヴィオの身体をがっちりと固定し、律動が激しくなる。圧迫感や異物感はなくならず快感だけが身を包み、普段は荒げることのない喉が激しく嬌声を溢れさせる。
喉が痛い。それでもシルヴィオはこの声をどうやって我慢すればいいかわからない。
ドナは何も言わずにぐ、と体重をかけてきた。それと同時に、挿入るはずのない犬獣人特有の根元の瘤がずぶりとシルヴィオの胎へと侵入する。
奥の弁を突き破るほどの質量から放たれる獣の欲に、シルヴィオもまた軽く達してしまう。肌に滴る白濁の欲望を肉球でなぞり、ドナは身体を密着させた。
「シルとえっちしちゃった」
「……ど、な、どな、でてる、はずして」
「無理だよ。全部シルの中に出さないと俺の赤ちゃん作れないから」
「でて、ぅ、どな、れれる、からぁ」
「呂律回らなくなってきちゃったシルも可愛い。人間に抱かれたこと、もう思い出せなくなりそう?」
「も、むり」
はちきれんばかりに犬獣人の欲が胎を満たす。シルヴィオが呂律も回らないままドナに外すよう頼むも、ドナは無理だと拒んだ。
子供を孕ませるためのロッキング。ドナはシルヴィオを抱きかかえ自分の上に横にさせるように体勢を変えた。その間もびゅるびゅると犬獣人特有の射精は続き、シルヴィオは甘い声で何度もドナの名前を呼ぶ。
「ど、な、どなぁ」
「外せないよ。試してみてごらん?」
がっちりと外れないように瘤で固定されたそれを自ら外させるように仕向けるも、発情していて達した直後のシルヴィオが動けるわけがない。いつも涼しげにしている表情を甘く蕩けさせ、たった一度の行為で枯れてしまった声で絶え間なく喘いでいるシルヴィオを、ずっとドナは抱き締めてきていた。
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