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第6話 side:未優

保健室で横になった僕は、本当は昨夜は期待と緊張であまり良く眠れなかった。理系と文系でもクラスが変わってしまうし、就職クラスの1組はないとしても理系に進学する僕と違って文系に進むならクラスが離れてしまう。 今でも距離は遠いのに少しでも近づきたいとやっぱり願ってしまう。 近づきすぎたら困っちゃうはずだけど。 なんてずっと考えていたら眠れなかった。 それが、それが、同じクラスだよ! 近くに行きたいと願ったけれど、同じクラスになるなんて考えてもいなかった。 夢のような出来事に興奮していた心地も徐々に落ち着いて知らず知らずの間に僕は深い眠りに落ちていった。 「橘くん、橘くん!カーテン明けても良いかな?」 「あっ、あ、はい。どうぞ明けてください。」 「よく寝てたわね~。始業式もホームルームも終わった時間よ。」 「すみません……」 爆睡してしまった自覚があるだけに穴があったら入りたい。 「さっき担任の大竹先生から連絡が来て、橘くん保健委員に決まったらしいわ。それで、その委員に同じくなった生徒が挨拶に来るから寮に戻らず待ってて欲しい言って伝言を預かったわ。」 「分かりました。どうぜ真紀も来るはずだから待っています。」 「それから、ちょっと職員室に用事が出来たから私、席を外すけど良いかしら?すぐに戻るし良い?」 「もちろんです。」 「良かった。じゃあ、よろしくね。ちょっと行ってくるわね。」 「はい、いってらっしゃい。」 新学期早々、失敗してしまった。 役員にもなっちゃったみたいだし、今年は大変になりそうだ。 でも、病弱な僕が保健委員か~。似合っているのか?いや、具合の悪くなった子を保健室に連れて来ないとダメなのに、僕じゃ役立たずだよね~。はぁ~、ため息が漏れた。 凹むな~。一緒に役員をする人には迷惑をかけちゃうからきちんと挨拶しないと。 未優はベッドを離れ、丸椅子に座ってクラスメイトが訪れるのを待っていた。

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