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第7話 side:凪
弾む足取りで保健室に向かっていると、怪訝な顔で俺を見ている関根と目が合った。
「何だよっ」
「いや、なんだか機嫌が良さそうだから気になってな。」
「そ、そりゃ、今日は珍しくクラブが休みだからな。」
「まぁ、そうだな。付き合わせて悪いな。」
「いや、気にするなよ。友達だろ。」
焦った~。ちょっと嬉しさが表に出過ぎてた。このままじゃ怪しまれるところだった。
初めて橘と話す機会を逃す訳にはいかないからな。
クラスメイトになれて、声をかけられる関係になれたらどれだけ嬉しいか。
慎重に、驚かれないように、良い印象を与えて友達に、せめて知り合いになりたい。
「関根が行くことは橘には伝わってるのか?」
「分からん。大竹がどこまで伝えてくれているか分からないからな。」
話しながら進むと保健室の前に着いていた。
心が整う前に関根が保健室のドアをノックしていた。
「はい。」
橘の声がする。胸がドキドキして、苦しいくらいだ。
関根が扉をスライドさせて開けるとそこには丸椅子の前に緊張した面持ちで立っていた。
一歩前に関根が出ると、橘が頭を下げた。
「橘です。大竹先生から保健委員に任命されたって聞きました。ご迷惑かけると思いますがよろしくお願いします。」
「関根だ。こちらこそよろしく頼むな。4月の末には委員会があるらしい。」
「もう、委員会ですか?」
「あ~、あのさ、脇から悪いけど同級生だし敬語はやめないか?橘。」
「えっ、あの、うん、分かった。朝比奈くん。」
頬をピンクに染める橘は可愛すぎる。ん?ん?んー?俺の名前ー!
冷静を装って橘に声をかけた。
「あれ、俺の名前知ってるのか?」
「えっと、関根くんと朝比奈くんをこの学年で知らない人はいないと思う……」
恥ずかしそうにして話す橘が可愛すぎる。
あぁ、それにしても嬉しすぎる。橘に認識されていたなんて有名人だった俺、ありがとう。
喜びのあまりおかしなテンションなっていることに気が付いていない俺だった。
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