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第20話狐にしか分からない10

 背後から木ノ下さんの息遣いが聞こえてくる。次は何をしてくるのだろうと、身を強張らせていたら、いきなり耳を舐められた。  頭に響く湿った音に全身の毛が逆立つ。 「うわぁっ…………そこは、だめ、です。あぁぁっ……」 「なんだ。狐も耳は感じるのか」 「そんな、人間も狐も……変わりませんから」 「細かくて柔らかい毛が沢山生えている。気持ちいい」 「はむはむ、するのやめてください」  木ノ下さんは、俺の首筋に顔を埋め、俺の股間をやんわりと揉んだ。 「ここも人間と同じなんだな」 「…………………」  当然である。見た目は限りなく人間に近いのだから、同じじゃなきゃおかしい。というか、哺乳類は大体同じである。  いちいち俺の身体で驚いている木ノ下さんにイラっとしてる場合ではない。自分が下着一枚の無防備な姿であることを今更ながら気付いてしまったのだ。 (うわうわ、どうしよう……)  木ノ下さんの手が、股間の膨らみを解すように動いている。反対の手は尻尾の付け根を離れない。快感の波が段々と太ももを上がってくる。 「ぁ、ぁあ……き、のした、さん……きもちよく、なっちゃうから、あぁぁっ……」  悲鳴に似た声が出たと同時に、木ノ下さんは俺の下着を降ろし、直接扱き始めた。幼馴染の桃矢がくれる気持ち良さとは格段に違う。羞恥と興奮が入り混じった、味わったことのない快感が押し寄せてくる。  白い精液が出たら『人間と同じ』だと言いたいだけなのか。 「出る……はぁ……で、ぁぁ……んんっ……」 (めちゃくちゃ気持ちいい…………)  俺は木ノ下さんの手の内に射精してしまった。『人間と同じ』白い精液をまじまじと眺め、ティッシュで拭き取る。 そして、ぼぅっとしている俺を、木ノ下さんが真正面から覆いかぶさるように押し倒した。 目と目が合う。熱の篭った瞳は、俺から透かし見える狐に対してのものに思えた。 「……そんなに俺の身体が気になりますか」 「何故かお前に触れたい欲求を止められないんだ。狛崎は可愛い。興奮する」 「こ、興奮って、動物相手に変態ですよ」 「そうかもしれない。もう少しだけ……ごめん」 そう言うと、木ノ下さんは自らのスウェットを下げた。さっきから後ろから当たってしょうがなかった下半身の固い膨らみは、嫌という程自己主張をしている。 狐で全裸の俺は今さら隠すものなど何も無い。促されるままに、両膝を抱えた。 狂気のように太くて立派なモノを、俺の股の間に差し入れる。動き始めた木ノ下さんの性器が、俺の息子に擦れて、にちにちといやらしい音を立てた。 「き、のしたさん、これ……やばい……ぁっ、ちょ……っと待ってぇっ……」 「…………待たない」 さっき出したばかりの下半身は、再びの熱と快感に打ち震えていた。 いやらしい。こんな姿勢を狐化した裸の状態で、いやらし過ぎる。 この状況を真面目に考えたら発狂しそうになる。とにかく行為に没頭した。

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