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あいつにナイフで傷つけられたから。
自分も誰かをナイフで傷つけていいんだって、恐ろしい勘違いをしていたんだ。
「あ……笹倉さん……」
牧村はぎゅっと目を瞑った。
満遍なくじっとり湿り渡る口内に閉じ込められたペニス。
尖らされた舌で頂きを擽られ、鈴口を労るように舐られ、甲斐甲斐しく吸い上げられる。
裏筋を丁寧に濡らされて。
双球まで優しく揉みしだかれた。
「あっ……それは、ちょっと……」
「気持ちよすぎる?」
ヘッドボードに枕を立てかけて背中からもたれた牧村に、彼の両足の狭間で蹲った、眼鏡をかけた笹倉は上目遣いになって問いかけた。
「身長に見合って立派なサイズだね、君の」
牧村は赤面した。
行先に迷っていた視線を恐る恐る向けてみれば、やむを得ずに屹立した我が身に惜しみなくご奉仕している笹倉と目が合った。
まごつく牧村と視線を絡ませたまま、笹倉は、根元から先端にかけてペニスを大胆に舐め上げてみせた。
「んっ」
「感度も抜群だし、でも綺麗な色してる、淫水焼けしていないんだね」
「いん、す……?」
素直に聞き返してきた牧村に笹倉は陶然と笑いかけた。
「牧村君、あんまりセックスしたことないでしょう」
経験はあるが。
回数は極めて少なかった。
あれは小学校低学年の頃だった。
短縮授業で学校が早く終わり、家族を驚かせようと庭からこっそり忍び込めば、奥の和室で母親が父親の弟とセックスしているのを目撃してしまい、ひどいショックを受けた。
襲われているように見えた。
傷つけられているように感じた。
怖かった。
汚かった。
子供ながらに、それ以上踏み入ってはいけないと思い、その場から息を潜めて逃げ出した。
ぐるぐると団地内を彷徨って、公園のブランコでぼんやりして、数時間後、家に帰ってみた。
「おかえりなさい、繁雄」
いつになく機嫌のいい母親が大好きなおやつを用意して待っていた。
もしかしたら、あれは、お母さんじゃなかったのかもしれない。
あんな汚いこと、大好きなお母さんが、するはずない。
あれは悪い夢だったのかもしれな……。
「あ……っ」
きつく目を瞑った牧村は喉を反らした。
前ボタンのガウンを脱ぎ捨てて全裸になった笹倉は同じく全裸の彼に跨っていた。
笹倉の後孔奥まで招かれた牧村のペニス。
仮膣の細やかな締めつけに搾り上げられ、さらに熱せられて、痛いくらい張り詰めていた。
どうしよう、こんなの、久し振り過ぎて。
心臓が壊れそうだ。
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