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【タダより怖いものはない】相川雨音

今年の夏は異常だ。 5月から30度超えが何日も続き、そうかと思えば(ひょう)が降ったり、ゲリラ豪雨が各所で多発していた。 そして…7月になった途端に、また30度超えの猛暑… 「あっつー!午後からフケようかな…エアコンなーんも効いてないじゃんか! あーぁあー…世も末か…もう、いい加減こんなの嫌になるよな…」 「省吾、愚痴るな。余計暑さが増す。」 「そうだよ、省吾。敦の言う通りだよ。 仕方ないじゃん。 誰にも文句は言えない。」 「お前らそんなこと言ったって…暑いもんは暑いっ!」 大学に併設された図書館の隅で、文句タラタラ言ってるのは霧島省吾。 日に透けるとシルバーに輝く目立つ髪の色のこの男は、小学生からの俺の幼馴染。 腐れ縁で、この年になるまで、何故かずっと一緒にいる。 チャラいけれど人懐っこくって、コイツの周りにはいつも人が寄ってくる。 俺と一緒に省吾を諌めているのは、藤沢 (あつし)。 こいつは高校からの親友。 最初会った時から気が合って、最近では、バイトのシフトを無理矢理入れられた省吾より、一緒にいる時間が長い。 俺達とは普通に馬鹿話もするけど、他の奴らからは“無口なイケメン”って呼ばれてて、何度も告白されてるのに『好きな子がいるから無理だ』ってバッサリ断っている。 『誰だ?』って尋ねても、ニヒルな微笑みではぐらかされて、その片思いの相手は未だに謎のままだ。 何の因果か、大学まで一緒になって、学部も選択科目も全て一緒で…いつも三人でつるんでいる。 「なぁ、海行かねーか、海! どうせこんなに暑いんだもん、暑さついでにどうだ?」 「省吾…文句の次は遊びか? お前の頭はお花畑だな。どうせナンパでもしようって魂胆だろ?」 「祐司(ゆうじ)、それあんまりじゃん! それは…“そんなのはない”とは言えないけど… いいじゃん!行こうよ! ねぇ、ねぇ!俺、バイト代ガッツリ出るから、旅費出すからさぁー。」 「おっ、太っ腹!…敦、どうする?」 「祐司は?祐司が行くなら行く。 おい、省吾。お前ついでに宿泊費も出せよ。」 「えーーっ!?横暴! …でも、まぁ、いいや。奢ってやる!」 「省吾マジで?…えらく気前がいいな…何か裏がありそうな…美味しい話には何とやら…けど、ま、いっか。で?いつ?」 「バイト代13日に入るからさ。それ以降で。 2人ともバイトいつ休める?」 「俺、来週金土日休み!祐司は?」 「奇遇だな。俺も!」 「じゃあ、金土でどうだ? 1泊2日。俺、押さえるから。」 「省吾に任せて大丈夫かな…」 「うわっ、祐司辛辣…マジで凹む…」 「お前が凹むタマかっ。 水の綺麗なところがいいな。あと、料理も美味いところ!! な、敦!」 「イマイチ心配だが…旅費は全て省吾持ちだから、文句は言わないぞ。」 「うえっ、敦まで…ふんっ、見てろよ。 俺だってできる子なんだ、ってとこ見せてやるからな!」 俺たちの話し声が大きかったのか、司書の咳払いが聞こえてきた。 「しーっ…静かに…ま、あんまり期待せずに楽しみにしとくよ。 あっ、俺、教授に呼ばれてたんだ! 先に行っとくね。席取っといて!」 慌てて筆記用具を片付けて、何だか嬉しそうな省吾と敦を残して図書館を出た。 むわりと身体に纏わり付く熱気。 蝉の声がやけにうるさい。 でも…あいつらと海なんて久し振りじゃん。 すっげー楽しみ!テンション上がる! これから何か始まりそうな予感に心踊り、ジワリと滲む汗も気にならず、駆け出した。 その話が出て数週間後…俺達はなんと飛行機を乗り継ぎ、着いたところは南国の島!小洒落たコテージ風のホテルにいた。 「うわぁーーっ!海っ!すげぇ綺麗っ! 省吾、お前、やればできるじゃんっ!」 「見直したぞ、省吾。」 「だーかーらー。俺はやる時はやる子なんだってば。 どう?気に入った?」 こくこくと頷く俺達に、満足気に胸を張る省吾は、手慣れた風に仲居さんにもチップを渡していた。 「ここさ、メシも美味いらしいのよ。 晩飯楽しみだよな。 な、早速海に行こうぜ!」 いそいそと着替え始めた省吾に俺は叫んだ。 「おっ、お前!いくら男同士のダチとはいえ、何でこんな所で すっぽんぽんになろうとしてんだ!? 恥じらいを知れ!恥じらいを! ビーチサイドに着替えるとこあるだろう!?」 「別にいーじゃん。あっち暑いじゃん! ここの旅館さ、砂でドロドロになって帰ってきても、横の勝手口から露天に入れるようになってるんだ。 フロントに大体帰る時間を伝えて着替えを預けていけば、ちゃんと確認して置いといてくれるらしい。」 「へぇ…いいね! って、敦!お前も何脱ぎ始めてんだよっ!」 「祐司、ごちゃごちゃ言ってないでお前も早く着替えろ。 …置いていくぞ。」 ばさりばさりと畳に衣服が落ちていき、見事に鍛えられた身体が露わになり、何故か凝視してしまっている。 運動系のサークルじゃないくせに、細マッチョなんだ… 目が離せない。釘付けだ。 男の身体だぞ?俺と同じモノついてるんだぞ? 俺の視線に気付いた敦が、野太い声で叫んだ。 「いやぁーん、祐司のエッチ! 何見てんのよぉ!」 「ふへっ!?いやぁ、めっちゃ鍛えてんなぁ…って思って…」 「見て見て!俺だって!敦には負けねーぜ!」 そう言って敦の横に割って入ってきた省吾が、シャツを捲った。 「うわぁ…」 こちらも綺麗に6つに割れた腹筋がお出ましだ。 「…お前ら隠れてジムにでも行ってたのか? 何だよ、その鍛え方。」 「プヨプヨよりいいだろ?」 「そうだよ。どうだ?触ってもいいぞ?」 「いいよ、別に。俺も着替えよーっと。 覗くなよ!」 「何だよー。俺達の見たくせに。」 文句を言う2人に背中を向けて、そそくさと着替えを済ませた。 何でだ!?ドキドキが止まらない。 「おい敦と祐司!行くぞー! 浴衣と下着とフロントに預けて行くから忘れんなよ!」 「おっ、おう!」 慌てて準備をして省吾を追い掛けた。 「うわぁーーーーーっ! 海ぃーーーーーっ!!!」 「こら、祐司!いきなり入ったらダメだぞ!」 「だってー。」 「ほら、ちゃんと準備運動して!」 敦に諭されて、渋々取り敢えずストレッチを始める。 「誰もこんなことしてないから!」 「してなくてもやるんだ! 省吾を見てみろ、ちゃんと言うこと聞いてるぞ。」 横を見ると、念入りに体操するイケメンが… 「ホントだ。」 仕方なく身体をほぐしていると… 「ほら、祐司行くぞ!」 「祐司、おいで!」 2人に手を差し出された。 太陽を背に浴びて、無駄に輝きを放つ2人。 「おっ、おう…」 何だ?何かエスコートされる女子扱い? その微笑みは何だ? 若干引き気味に、それでも誘われるまま水しぶきを上げて海に飛び込んだ。 散々波と戯れ、子供みたいに砂で城を作ってみたり、砂風呂みたいに埋められたり埋めたり、思う存分楽しんだ。 敦が飲み物を買いに行ってくれてる間に、省吾と2人っきりになった。 「めっちゃ楽しーい! ありがとな、省吾。楽しい上に省吾がスポンサーなんて。 …本当に甘えて全部払ってもらって良いのか? 飛行機代だってバカにならないのに。 俺は自分の分くらい出すつもりでいるんだ。 ちゃんと請求してくれ。」 「どういたしまして。いいんだよ、飛行機だって格安便だし。 楽しんでもらえてるなら、俺はそれでいいよ。」 「どうしたん?何でそんな気前良いの?」 「えー?別にぃ? いつもお前達には世話かけてるからな。 恩返しだよ、恩返し。」 「それを言うなら俺だって」 「あのー、すみませーん。」 言い掛けた言葉を突然遮られた。 目の前には水着姿も眩しい女の子が3人。 おおっ、たわわな胸元に視線が行ってしまう… 珍しく省吾がぶっきらぼうに答えた。 「何ですか?」 「あの…3人で来られてるんですよね? 良かったら私達と一緒」 「悪いけど。 後で彼女達が合流するから、お相手なんてできないよ。 他当たってくれる?」 有無を言わさぬ雰囲気で、省吾が女の子の言葉を最後まで言わさずぶった切った。 彼女達? 誰の? ナンパ…するんじゃなかったのか? 「えっ?」 「何度も言わせないで。 『君達のお相手なんてできないから他を当たって。』 じゃあね、さようなら!」 逆ナンが失敗し恥をかかされた格好の女の子達は、ブツブツ文句を言いながら去って行った。 「省吾…」 「え?あ、ごめん。 せっかくお前らと楽しんでるのに、邪魔されたくなかったから。 それとも何? あの子達と遊びたかった?」 「いや…お前が…珍しいなって思って…」 「俺だって選ぶ権利はあるんだ。」 と、そこへ敦が戻ってきた。 「今そこで、3人組の女達にえらく睨まれたけど、何かあった?」 「実はさ…」 と俺は、今あった出来事を敦に話して聞かせた。 ふんふんと聞いていた敦は 「あんな女どもと関わらなくて良かったなー。」 なんて呑気に笑っている。 「お前ら、ナンパ目的じゃなかったのか?」 「いやぁ、別に。俺は祐司と敦と遊べたらそれでいいから。」 「俺も。大体逆ナンしてくるような女はお断りだし。」 「そうなんだ…そう言えば敦!お前の一途に想い続けてる彼女って、一体誰なんだ? いい加減教えろよ!」 「…今に分かるよ。」 「何だよそれ。省吾は知ってるのか?」 「うーん…何となく…ね。」 「俺だけ仲間外れかよ…ふーん。 お前らがそのつもりならそれでいいよ! …ごめん、先に戻る。」 俺の名前を呼び止める2人の声を無視して宿に帰ると、内線を掛け着替えを持ってきてもらった。 海水でベタついた全身を綺麗に洗って、程よい温度の露天風呂にゆっくりと浸かる。 何だよ。俺だけ仲間外れにしやがって。省吾も知ってる? 今に分かる? そんなの分かる訳ないじゃないか! どうして俺じゃないんだ? 省吾だって…ナンパ目的じゃないって…何思わせぶりなこと言うんだよ。 え…何考えてる?俺… 腹が立って仕方がなかった。 でも…教えてもらえなかったことに対してなのか、敦に一途に思われている誰かに対しての嫉妬なのか…訳が分からなくなった。 俺は、女の子が好きなノンケのはず。 それなのに、まるでアイツらに恋しているかのような… 頭をぶるぶる降って否定する。 …湯当たりしそうだ…いい加減に出よう。 汗が引くまで外の風に吹かれながら、ぼんやりと過ごし、浴衣に着替えて部屋に戻った。 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと一気飲みする。 頭がぐちゃぐちゃになって、畳に寝転んだ。 飛行機を乗り継いだ疲れが出てきたのか、段々と瞼が重く落ちてきて、フェイドアウトした。 ん…何かキモチイイ…誰かに触られてる? ゆっくりと目を開くと、俺の乳首に吸い付いてる省吾と、俺自身を扱いている敦が視界に入った。 「おっ、お前らっ!何してんだよっ!」 「何って…エッチに決まってるだろ? ほら、ここ、こんなに勃っちゃって、先走りでぐちょぐちょじゃん…思う存分気持ち良くしてやるからな。」 「ここもコリコリじゃん。かわいいなぁ、祐司。 お前のこと愛したくて気が狂いそうだったんだ…」 「ちょっ、待てって!止めろっ! お前ら、この暑さで頭沸いてんのか? 俺ら男だぞ!? バカっ!止めろって!」 「…止めねーよ…ずっと好きだったんだ。 高校で同じクラスで、隣同士になって…ずっとずっと思い続けてきたんだ。 俺が思い続けてきたのは…祐司、お前だよ。」 「おい、敦っ!抜け駆けナシだって! ずるいっ!俺にも言わせろっ! 俺だって出会った時から、ずっと祐司だけを思い続けてきたんだ! 女好きのチャラい俺はフェイク! お前を思ってきた年数なら俺は負けないぞ! 祐司、俺を選べ!」 親友達の突然の告白と、目の前で繰り広げられている余りにもエロ過ぎる光景と、身体中ダイレクトに伝わる甘い痺れと、ぬちゅぬちゅぐちゃぐちゃという淫猥な音と…身体の五感を崩壊するような凄まじい刺激に、俺は暫し呆然としていた。 抵抗できない俺に気を良くした2人は、益々激しく愛撫してきて、俺は成す術もなく嬌声を上げて達してしまった。 「あああっ」 息を荒げぐったりとした俺の髪の毛を省吾が優しく撫でてくる。 「祐司、好きだ。」 胸がとくんと鳴った。 黙って見つめていると、そっと唇が触れた。 キス! 捻じ込まれた舌先は、遠慮がちに歯列をなぞっていたが、そのうち大胆に口内を嬲り回ってきた。 「んっ、んっ、んむっ」 コイツ…キス上手い…気持ちイイ… 自分から舌を絡ませ吸い合う。 「んんんっ!」 下半身に強烈な快感が走った。 これは…手じゃない…舐められている… それに、後孔の周囲をクルクルと撫でられ、時折何か細いものが入ってくる。 腰を捻り外そうとするけれど、ガッチリと押さえられて逃げられない。 省吾の唇をやっとのことで押し退け懇願する。 今から何をされるのか分かって怖くなったのだ。 「敦…止めて…」 敦はそれでも手を動かしながらも、にっこりと微笑んで言った。 「優しくするから。絶対に痛くしないようにするから。」 「俺も約束する。祐司、お前を傷付けたりしない。」 省吾もそう言って、またキスをしてきた。 もう、何が何だか分からない。 コイツらが俺のことを好きだ、っていうのは理解した。 俺は?俺はどっちが好き? 答えが出ないまま、ただ、気持ちイイ、という感覚に溺れていく。 俺は、コイツらに抱かれる? あぁ…それでもいいや…俺の初恋は省吾で…次に好きになったのは敦なんだ…認める、認めるよ。 今まで誰とも付き合わなかったのは、なんだ。 俺は、省吾と敦が…好きだ! 途端に身体が熱を帯びる。 キスをする省吾を右手で抱き寄せ、俺の後孔を優しく解す敦の頭を左手で弄った。 「「祐司…!!!!!」」 2人を受け入れる態度を取った俺に、省吾と敦が喜びの声を上げた。 本当に“こんなところ”に受け入れられるか心配だったけれど、敦が何処から取り出したのかローションをたっぷりと使い、指が3本入るくらいまで解してくれる。 痛くない、なんて嘘だ。半端ない異物感と羞恥。 正気じゃない。 男3人でコンナコトしてるなんて。 それでも俺は2人に愛されたい一心で、それらを歯を食いしばって我慢していた。 その間、省吾は俺の身体中を触っては舐め、舐めては触り、俺をとろとろに蕩けさせていく。 2人の俺に対する思いが、身体も心も解していく。 「…もう、そろそろいいだろう…祐司、挿れるよ…」 敦の掠れた声が聞こえた。 くちくちと入り口を擦られた次の瞬間 「あああああっっっ!!!」 みちみちと音を立てて、敦が入ってくる。 余りの痛みに ぶわりと涙が溢れて、省吾の顔が歪んで見える。 「祐司、大きく深呼吸して。」 顔中キスしながら、省吾の手が胸を這い回る。 俺の手を掴み、省吾自身に添えられた。 熱い。固い。脈打つソレは、俺を求めていた。 痛みと圧迫感が少しずつ緩み、いつの間にか敦の大きな楔を全て飲み込んでいた。 「祐司の中、熱い…もう、堪んねぇ。動くぞ。」 言うなり、敦が腰を動かし始めた。 「あっ、あっ、何かっ、変っ…敦…あっ」 蠢く俺のナカが、ぴったりと敦の楔に絡み付くのが分かる。 ずぐっ とある場所を擦られた時、今まで感じたことのない快感に襲われた。 「うわぁっ」 「ココか…」 敦が嬉しそうに呟き、念入りにそこばかりを攻め始めた。 俺の先端からは、ぴゅくぴゅくと白濁の液が流れている。 それを見た省吾が焦った声音で叫ぶ。 「敦、ずるいっ!俺も早く祐司を愛したい! 早く代わって!」 「もう少し…待って…祐司、イくぞっ!」 突然スピードを増した抽挿に、身体がずり上がっていく。 省吾に両手を固定され、口元に雄臭くて生温かい物が触れた。 コレって…省吾の… 躊躇いもなくそれを口に含むと、とてもじゃないけど苦くて不味くて。 それでも愛おしくて夢中でしゃぶっていた。 下半身にダイレクトに響く甘くて重い快感と、口内に埋め尽くされた雄の塊の両方に翻弄され、初めての行為に溺れていく。 「んっ、んっ、んんっ、んむっ」 喉奥から絶え間なく溢れ出る、鼻に抜ける甘い吐息は、いやが応にも2人の雄を高ぶらせていく。 もう、ダメだ、イクっ! 込み上げる射精感に耐え切れず、ぷしゅ と達すると、間髪入れずどちらもが俺のナカに欲望を吐き出した。 熱い…お腹の中も口の中も。 苦味とえぐみが口内に広がり、思い切り飲み込んだ俺は思わずむせた。 「ごめん!祐司!大丈夫かっ!?」 咳き込む俺を省吾が抱き込んだ。 「…ケホッ…ゴホッ…ん…大丈夫…」 「飲んだのか…嬉しいよ、祐司…」 ずるり…と敦も出て行った。 あ…焦燥感に包まれ、縋るような目で省吾を見つめる。 「チッ…煽りやがって…次は俺な!」 敦と入れ替わるように省吾が俺の足元に移動した。 背中がゾクゾクする。 またあの快感を味わえるのか。 敦は用意周到、ウエットティッシュで自分自身を拭き取ると、それを俺の口元に差し出した。 「はい、祐司。好きなだけしゃぶっていいぞ。」 俺は涙目のまま、嬉々として敦と省吾を受け入れて、その後も何度も交わった。 四つん這いにされたり、股を大きく割られたりと、普通なら恥ずかしい格好もこの時ばかりは全く気にならなかった。 乱れに乱れて、もう体力と気力の限界… そしてぷっつりと意識を失った。 「おい、省吾…ヤり過ぎじゃないか? 何回ヤったんだよ…祐司、初めてだったんだぜ。」 「仕方ないだろ。何年越しだと思う? やっと願いが叶ったんだ。 そう簡単に離してやらないよ。抱き潰して悪いとは思ってるけど。」 「ふっ。鬼畜野郎。」 「敦、お前に言われたくない。 …祐司が俺達2人を受け入れた、ってことは…俺達2人共を好きだ、ってことか?」 「…ん…そうなるな… おい、省吾。抜け駆けすんなよ。 祐司は『俺達2人を受け入れた』んだからな。」 「分かってるって。 でも、こんなに上手くいくとは…エッチ付きの海でのデートなんて、この旅行は大成功だったな。1年前からここを予約して、バイト頑張った俺を褒めてくれよ。」 「それはお前に感謝するよ。 でも、おいしいとこ持っていきやがって。 祐司、お前のことすっかり見直してたじゃないか。」 「はいはい。でも、祐司のはお前に譲ったじゃないか。 お相子(あいこ)だろ? …それにしても祐司、寝顔もかわいいなぁ。」 「うん。夕飯と風呂入ったら、もう一回…」 「動けなくなると困るから、軽めにな。」 「そうだな。」 俺の意識のない間にこんな会話がなされていたなんて知る由もなく、その夜も2人に優しく身体を暴かれて… やはりおいしい話には裏があったのだ。 タダより怖いものはない。 翌日、腰も足もガクガクしたまま2人に甲斐甲斐しく介助され、機上の人となったのだった。 そして今…俺の両隣には、恋人となった男達がいる。 夏は、これからが本番だ…

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