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第12話(sideシャルおばあさん)【了】
──なんて、流石に無理のある解釈をしてしまっただろうな。
シャルは不意に思い出した絵本の内容を自分の好きに歪めてみるが、きっと沢山の人からダメ出しをされてしまうなと、苦笑いを浮かべる。
だけど思うに、赤ずきんの続きがあれば、狼に食べられかけたおばあさんは森から出ていってしまうのだろう。
狼は石を詰められ身動きが取れないまま、ひとりぼっちになって沢山後悔をするのだ。
自分は誰しもにとって恐ろしい生き物なのだと、泣いて、泣いて、とても寂しくなってしまうのだ。
そう思うと、シャルは狼にとってもハッピーエンドな話にしたいと、なんとなく思ってしまった。ただの童話だと言われればそれまでの幼稚な発想だが。
「しゃるぅ〜……? しゃる、きすほしい……なぁ、ちゅーしようぜ、しゃるー……」
シャルの腕の中で狼が呼ぶ。
シャルは彼の柔らかな髪をなで、耳の付け根を優しくこしょぐる。すると耳がパタパタと擽ったそうに動いた。これはもっと、ということ。
甘えたな彼が唇を尖らせて照準の狂ったキスを頬やら顎やらに落とすので、シャルはふふふと笑ってしまった。
そっと彼の頬を包み、コツンと額を合わせてトロリと蕩けた瞳を見つめる。
「なぁアゼル、俺はお前と……ずっと一緒に生きていたい。お前がまたお腹を空かせて俺を食べたくなったりしないように、愛情いっぱいのディナーの後は、とびきり甘いデザートを贈るからな」
「! うあっ、! う、ううっ嬉しい……っシャル大好きだ、大好ンぅ、」
頼まれたって出て行かないし、自分は必ず扉を開く。
もしもの童話は変えられなくても、この腕の中の狼だけは必ず幸せにするのだ。
届け愛情、とばかりにシャルは少々お酒臭い愛しの狼にキスをして、幸せになるようめいいっぱいの愛を込める。
そんなキスに茹だったように真っ赤になったアゼルは、嬉しい嬉しいと赴くままに受け入れて一層ピタリと抱き寄せる。
それを目撃した赤ずきんユリスが、人前だということを責め立てるまで、後数秒。
結
〈あとがき〉
リク作にはお礼のあとがきを。
リクエスト企画にてリクを下さったりあん。さん、ここまでご覧くださった方、ありがとう御座います!
今回は赤ずきんパロと言うことでとても楽しく書かせていただきました、パロ大好きなんだ。
赤ずきんと聞いた時に思い浮かんだのがこのおばあさんの立ち位置で狼ハッピーエンド。
そうだったらいいなぁ〜の妄想爆裂で無理があるドリーム解釈ですが、やはり晩ご飯勇者である以上みんなハッピーでこそさ(?)
総合するとコメディ濃厚で「これ赤ずきんか?」と言うようなできでしたが、最後まで終わらせられて良かったです。
今後はシャルのうちに遊びに来ると普通にアゼルがいると思います。
怖がられるのが嫌で人間と見るや即離脱だったアゼルですが、一緒にランチをした事でユリスとリューオは大丈夫と理解したご様子。多分そこにガドも乱入してくる。
書いている時にお馬鹿すぎて作者もふふっとしました。
とてもウキウキなリクエストをありがとう御座いました!
それでは、引き続きノーマル作品やリク作品を書いていきますので、良かったらごゆるりふにゃふにゃとお付き合い頂きたいです(土下座)
(6/1 週末会話文は削除致しました、お付き合い頂きありがとう御座います!)
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