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愛の巣で…

「あっ……ダメ、やだ……」 チラリと見えたミケルの顔。ミケルは慌てたようにエイデンが崩した衣類の山を両手で自分の体へと搔き集めた。 「ミケル? ごめんね、僕がいなくて寂しかった? 上手に巣、作れたんだね。僕もそこに入っちゃダメかな?」 そんな衣類なんかより、自分を抱きしめてもらいたい── 衣類に包まれ恍惚とした表情のミケルは、エイデンの姿を認識しているのかも怪しかった。こんなにも愛らしく蹲っている番に、エイデンは堪らなくなり強引にその愛の巣へ体を滑り込ませる。 「やっ!……俺の、これ……俺の……」 「うん、わかってるよ。ステキな巣だね。僕も一緒に抱きしめてよ」 「巣……?」 ミケルは巣作りをしたという認識はなかった様子でぽかんとエイデンの顔を見た。エイデンはやっと自分を見てもらえたことに嬉しくなり、そっとその体を抱きしめた。 「そうだよ……ミケルの巣だ。上手にできたね。ほら……もっとこっちにおいで」 「エイデン様? あ! エイデン様……おかえりなさい!」 我に返った様子でミケルは慌ててエイデンにしがみつく。二人してグシャグシャになった衣類の山に埋もれながら、しばらくの間抱き合ったりキスをしたり、軽くスキンシップを交わした。 「エイデン様……ごめんなさい。俺、なんだか寂しくなっちゃって、気づいたらエイデン様の服とかいっぱい持ってきちゃって。自分でもなんでこんなことしたんだか……すみません」 気まずそうにミケルはエイデンに謝罪をする。それでも発情期のせいか、エイデンを見つめるその瞳は熱を帯び妖艶に誘っているように見えた。ミケルのフェロモンは番っているエイデンにのみ絶大な効力がある。こんな軽いスキンシップだけじゃなく、またあの時のように狂おしいほどに抱いて欲しいとミケルは期待していた。 「ミケルは体調は大丈夫なの? 今日はゆっくり愛し合おうね……大事な体なんだから」 発情して、更にエイデンの気に当てられているミケルはもう話なんか聞いていられる状態ではなく、密着しているエイデンの体にすりすりと顔を埋める。折角、先程少し我に返ったように思えたのに結局はまたお互いのフェロモンに当てられミケルは本能のままに行為を強請った。 「今日はなんだかいつも以上に可愛く感じる……ふふっ、待ってミケル。そんなにしたら……ほら、ダメだよ……いい子だからちょっと待って……」 ごそごそとエイデンの衣服の中に潜り込むようにしてぎゅうぎゅうと抱きついてくるミケルに思わず笑いながらエイデンはやんわりと体を去なす。 「参ったな……自覚がないからしょうがないのか。でもムリは禁物……ミケル? 君は動かなくていいから……今日は僕がゆっくり抱いてやるから、君は僕に身を任せていてね」 「や……ん、早く、早くエイデン様の……これ、欲しい……挿れて、熱いの頂戴……」 額に汗を滲ませながら、ミケルは貪るようにエイデンの下腹部に顔を埋める。それでもエイデンに制され、ゆっくりと衣服を脱がされた事でやっと落ち着きを取り戻した。 「ほら……僕のミケル。キスしてごらん……もう準備はできてるね。僕の上に乗って……そう、上手。君は動かないで……今日はゆっくりゆっくり愛し合おうね」 エイデンに促され、ミケルは言われた通りに体を動かす。 無意識とはいえ、初めて巣作りという行為をし、こうやって主人を迎え入れた瞬間ミケルはいつもの発情と違うように感じた。確かにエイデンに対しての情欲は沸く。それでもそれは激しいものではなく、目に見えない緩やかな波のような、それでいて激しく奥底から突き上げてくるような何とも言えない熱に感じた。

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