6 / 14

第6話

   翼は、もこもこパンツの毛羽をむしった。ガツガツくるのが正解の場面で、尻切れトンボに終わらせちゃうなんてケチんぼ。  ダーリンはおれを子ども扱いするのが玉に瑕で、それって心の底から愛してくれている証拠なんだよね、キャッ。  などと独り言さえノロケ話に変じるあたりが、ザ・新婚さんならではだった。  それはさておき、ばななマンが手裏剣を投げつける要領でチョーク型のローターを放つ。  それは誠也のへそに命中したはずみにスイッチが入った。 「くっ、はうう……っ!」  振動が下腹部に響き、ムスコを揺り起こす。誠也は咄嗟にTシャツの裾を引っぱり下ろすと、内股気味に後ずさった。  実は首尾よく合体と相成ったさいに、歯止めがかからなくなって翼を壊しては大変、と一日一回一を習慣にしているのだ。  今日もすでにヌき終えているが、さまざまな精力剤の成分が体内で化学変化を起こした結果、勃起率がうなぎのぼりにあがりっぱなしなのだ。  と、ばななマンが手拍子に合わせて歌いだした。 「むすんで、ひらいて。むすんで、ひらいて」  ワンフレーズごとに、誠也の下肢はそういう仕かけがほどこされているように、ぱかっと開いては閉じる。  チョーク型のローターで股ぐらを狙い撃ちされるにつれて、にょきにょきという音がこだまするようで、ジャージの中心に妖しい皺が寄った。    連鎖反応を起こして、もこもこパンツの前も丸みを帯びはじめた。  可愛らしい膨らみと、ふさふさの尻尾は双子のようで、翼が腰をもぞつかせると、もこもこパンツのあちらとこちらで仲よく躍る。タイツがずれて網目の痕がちらつく。  白い肌に鮮やかな模様は、こう焚きつけてくるようだ。  ──破ってほしいな……。  視線が絡み、誠也は片膝立ちにしゃがんだ。網タイツをつまむと、膝がオットマンであるかのように翼が足を載せてきて、はにかんだ笑みを浮かべた。  では、いっちょ景気よくビリッ。

ともだちにシェアしよう!