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第10話

 助言に従い、心残りをまたひとつ弔い終えたことで、トンネルの出口が見え隠れするようだ。ただし、あれやこれやの出来事を、いちいち書き綴っていてはキリがない。  よって、これよりその三十六をピックアップする。  ファンシーな小物があふれ返るリビングルームに突然、社殿を描いた書割が出現した。いつの間に搬入したのだ、と面食らう向きもあるだろう。  しつこいようだが、本作品はプロットだの伏線だのといった小説の基本はガン無視の「やおい」である。  さて、再現ドラマのナレーターを務めるのはもちろん我らが、ばななマン。  誠也と翼を書割の前へと促し、語りはじめた。 「修学旅行の第二夜。示し合わせて宿泊先のホテルを脱け出したふたりは、縁結びにご利益がある神社を参拝し、絵馬を奉納した」    翼が柏手を打ち、くだんの夜の会話を忠実になぞる。 「『先生が引率でラッキー。あのね、いつか先生とこの神社で結婚式を挙げたいって絵馬に書いたんだ。叶うといいなあ』」 「中崎誠也は上の空で相槌を打った。理性と欲望がせめぎ合い、ことほどさように煩悩の虜になっているのであった」 「『境内の裏手に回れば、翼くんにさわっても見とがめられる心配はない……いかん、いかん、俺は仮にも聖職者。教え子とアオカンぽいことをするなんて言語道断』」 「そこだ、自分にブレーキをかけるな、アクセル全開だ!」    そう一喝されて、誠也の中のケダモノ指数が跳ねあがった。社殿の陰に身をひそめたつもりで翼を抱きすくめる。  現在(いま)、揉み甲斐があるお尻を包んでいるのはもこもこパンツだが、心眼に映るものは制服のスラックスだ。  ベルトを抜き取る体で網タイツを引き裂き、返す刀でもこもこパンツをむしり取った拍子に、ぷるんとペニスがまろび出る。  むにゅむにゅ、こねこね生尻を撫でまわすと、期せずして花芯に刺激が加わり、 「やぁ、あん……」  翼は狂おしく身をよじった。

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