乳首を吸われたさいの快感がくすぶっているところに火炎瓶を投げつけられたに等しく、とろとろと蜜がにじむ。 　とはいえ、またもや寸止めかもしれない、と不安に襲われる。 　でも、と翼は網タイツの残骸を蹴りやった。今回も糠喜びに終わる恐れがあるときは、発奮材料に自分でほぐしてみせるのだ。 　だって、分かちがたくつながれたくて内壁がひくつく。内助の功というやつを発揮して、悲願達成に向けてがんばるぞ、エイエイエオー。 　 　と、情感たっぷりのナレーションが入った。 「この神社の御神体は男根そっくりの岩である。中崎誠也の魔羅も、みずみずしい菊の花を散らすべく雄々しく屹立するのであった」 　 　誠也は眦(まなじり)を決した。ギャザーを解き伸ばすそばから指が沈み、愛しさと罪悪感をない交ぜに覚えて、瞼にキスを落とした。 　きゅうきゅうと肉襞が収縮し、ガムシャラに指を搦め取るさまが、翼の胸の裡を雄弁に物語っている。 　名実ともに夫夫(ふうふ)になりたい、と。 「あああん、誠也さん……」 　バッチ来い、と翼は拳を握った。かき混ぜやすいように、片足立ちに谷間を広げて腰をくねらせる。 　壊れ物じゃあるまいし、もうちょっと乱暴に抜き差しを刻んでくれても平気なのに、そろりそろりと指を埋め込む。焦れったさがつのり、膝を曲げ伸ばしする体で内奥に導くと、指先がある一点をかすめた。 「ん、んんん……っ！」 　 　地球には重力があり、誠也のムスコは重力に忠実だった。上気した顔に皺が寄るさまに痛いせいだと早合点して、へなへなあ。 「あああああ、チンカス野郎に純潔を穢す資格はないんだあ！」 　悲痛な叫びが響き渡るなか、ばななマンが蛍光ペンのキャップを外した。 　てきぱきと誠也をフリチンにひんむくと、いじけモードに入ったイチモツの上半分を赤、下半分を白に塗り分ける。そして威勢よく掛け声をかけた。