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#君が恋しい

家の近くに空き地がある。 「ははっ、君はおもしろいことを言うね!」 男が楽しげに喋る声が響くようになったのは数週間前から。それは決まって夜から深夜の時間帯。 「ん?なんでそんなことを言うんだい?」 今もこの男は喋り続けている。 「僕は君とずっと一緒にいたいよ!」 ずっと、ずっと…。 「ああ、僕は君を受け入れる!」 そして朝日が昇る頃。 「あ、時間だ!明日早いんだ、また来るよ!」 そう言って男は帰っていく。 流石にこんなことを数週間も続けていたら空き地の周りに住んでる人たちから苦情が出るだろうが、俺も含めみんなそれをしなかった。 『少し前に男性がひき逃げで亡くなったって…』 『ああ、知ってる。なんでも、その恋人が夜な夜な事故現場で一人で喋ってるとか…』 男は一人二役みたいに会話文を喋る。 「"俺を受け入れてほしい"…"ああ、僕は君を受け入れる"…"違う、そうじゃない。俺が…"」 この続きを男は言わない。…いや言えないのか。 きっと今夜も空き地に添えられた花束の前で男は涙を流し楽しげに喋る。自分の心と葛藤しながら…。 **** 『ねえ、泣かないで』 「え?別に泣いてなんかいないさ」 もっとたくさん君の顔が見たい。 『ねえ、悲しい顔しないで』 「君といてそんな顔するわけないじゃないか」 もっとたくさん君と話がしたい。 『…貴方が心配』 「え?なんでだい?」 『貴方が無理して笑うから、心配』 「ははっ、君はおもしろいことを言うね!」 心配性な君。 『貴方の未来に俺はいない』 「ん?なんでそんなことを言うんだい?」 『貴方と一緒に生きていけないんだ』 「僕は君とずっと一緒にいたいよ!」 『それはできない』 「そりゃあ色々苦難はあるけど、」 『ねえ、目を覚まして』 「僕の話を最後まで聞いてくれよ!」 『受け入れてほしい』 「ああ、僕は君を受け入れる!」 『違う、そうじゃない。俺が…』 「あ、時間だ!明日早いんだ、また来るよ!」 会いたいんだ、大好きな君に…。

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