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4日目・夜
その日の夜はとても良い気分だった。夕飯を食べながら設楽は2人で登った山の話を延々し続け、その様子に苦笑しながら大竹はおじさんや息子夫婦と酒を飲んでいた。
設楽の楽しそうな様子におばあちゃんもニコニコと笑い、子供達も「今度は一緒に連れてって」と設楽にねだったりした。
食事の後は、先に設楽を風呂に入らせ、大竹は部屋で少しだけ仕事の電話をした。予備校に勤めている仕事の相方から「ふふ、お前のそんな声、久しぶりに聞くな」とからかわれるほど、大竹の声は満ち足りていた。
設楽が風呂から上がってきて、風呂上がりのほかほかした設楽と軽くキスをしてから大竹は風呂場に向かった。
逆の立場になって初めて、風呂上がりの自分に設楽がいたずらをしようとする気持ちが分かった。成る程、これはちょっといたずらをしたくなるような色っぽさだ。
濡れた髪。上気した頬。汗ばんだ首筋……。
キスをねだって目を瞑る設楽の腰に軽く手を回しながら、そのまま押し倒してしまいたい衝動に駆られて、大竹は逃げるように風呂場に向かった。。
久しぶりの山登りでほどよく疲れた体を風呂の中で伸ばし、大竹は少しだけニマニマと頬を緩めた。
「うー、やべぇ。俺、大分酒回ってんのかも……」
風呂を上がって部屋に戻ると、疲れたのか設楽はもう眠っていた。いつも大竹が眠っている、左側の布団の上に寝そべって、気持ち良さそうな寝息を立てている。
「罪のない顔しやがって……」
大竹は設楽の隣りに横になると、その頬をちょっとつついてみた。
何だかひどく気持ち良かった。
大竹は眠る設楽にちょっかいを出しながら、暫くそうして寝顔を見つめていた。
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