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5日目の夜ー2

 昼間のことを考えたら、こんな風にサカるなんて間違ってる。  でも、先生が俺を許してくれる。  先生が俺にキスをしてくれる。  だったら俺は、もう他のことなんか考えられない。  先生が欲しい。  俺にとって大事なのは、いつだって先生だ。  唇から灯る火が、胸に飛び火して、そのまま体全体を包んでいく。  先生が欲しい。  先生が欲しい。  先生が俺を欲しがるところを、見てみたい。 「先生…」  銀糸を引いて唇を解いたとき、設楽は目の縁を染めて、大竹の肩口にぽふんと額をつけた。 「先生、一応訊くけど、エッチするって選択肢は」 「毎度で悪いが、それはない」  何度訊いてもつれない大竹の、それでも昂ぶっている腰に自分の腰を押しつける。ゴリっと固い感触が、互いの腰にじんと甘い痺れを生んだ。 「先生、ちゃんと勃ってる……。ね、先生、俺としたいって、思う?」 「そういう事、訊くな」  俺がどんだけ我慢してると思ってるんだと口の中でブツブツ文句を言う大竹に、嬉しくて口元が笑ってしまう。  設楽は大竹の形を感じるように、ゆっくりと自分の腰を擦りつけた。  あぁ、先生が感じてる……。そう思うと泣きたくなった。 「嬉し……、もう、これだけで()きそう……」 「だからそれは立派なセックスだっつうの」  それでも頬を僅かに紅潮させて、何かを堪えている大竹の顔は堪らない。 「先生、その顔、させてくれるまでオカズにして良い?」 「してくれるまでの間違いだろ」 「ね、先生。お願い。触らせて」 「ダメ」 「甚平(じんべい)の上からで良いから」 「ダメ」 「絶対それ以上しないから」 「日本には、『男の“先っちょだけ”は絶対に信じてはならない』というありがたい格言がある」 「え!?先っちょまでは入れて良いの!?」 「言ってねぇよ!」  暫くそうして言葉遊びを楽しんでから、大竹は設楽の手を握った。 「もう寝ようぜ。寝付くまで、手ぇ握っててやるから」 「うん」  設楽は手を握る大竹の右手を両手で包み込むように握りしめて、額にその腕を押しつけた。

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