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6日目の夜ー6

「先生どこ行……優兄!?」  遠山を見るなり設楽の顔色がさっと変わったが、大竹は真面目な顔で「遠山がお前の火消しに回ってくれたんだぜ。お礼の1つも言っとけよ」と設楽に遠山を引き合わせた。 「でも…!」 「いいからほら、仲直りのお酌しろ、お酌」  納得できない顔で、それでも小さく「ありがとうございました」と言いながら、いかにも渋々といった(てい)で設楽が遠山にビールを注ぐと、遠山はぐいと一気にビールを飲み干し、チラリと大竹に視線を向けた。大竹が小さく頷くのを見ると、遠山はそっと肩を竦め、それから「じゃあご返杯」と言って、設楽のコップにビールを注いだ。 「あれ?智一、先生の前でお酒飲んで良いの?」  伯父さんの息子が声を掛けると、大竹が「設楽の方があなたより強いって、伯父さんから聞きましたよ?」と(けしか)ける。 「おっ、聞き捨てならないね!よし!智一、今日こそ決着をつけるぞ!」 「え!?ちょっ、先生!?」 「まぁまぁ、智、最後の晩餐くらい無礼講だよ。ね、先生」 「そうだな。さ~て、俺も飲むか~」 「ちょっ、先生!?最後!今日最後なんですけど!!」  大竹の意図に気づいた設楽が慌ててももう後の祭りで、その場のノリは飲み比べ大会へと変わっていた。  設楽がいくら「俺未成年だし!」と踏み止まろうとしても流される水の勢いを止めることなど出来なかった―――。

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