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7日目の朝-3

「お前!こないだの事から何も学んでないのかよ!お前の口は水素より軽いって、良い加減気づけ!」 「だって!」 「だってじゃねーよ!皆いる前で何言うつもりだったんだ!ゲイばれしちゃまずいって、自分で言ったんだろうが!!」 「だってあいつ絶対先生のこと狙ってるよ!!昨日だって2人で何話してたんだよ!!」 「アホかぁ!!」  大竹は頭がギリギリと痛むのを感じた。  バカだバカだとは思っていたが、設楽がここまでバカだとは! 「あんなシスコンが俺のこと狙ってる訳ないだろ!俺男だぞ!」 「先生こそいい加減に自覚してよ!あんた男と付き合ったんだよ!?はっきり言って、あんたは女より男の方にもてるんだってば!女子からは嫌われてるかもしれないけど、男子の中には隠れたファンがいるの、知らないの!?」 「そんな変態はお前くらいだよ!」  2人で喧々囂々(けんけんごうごう)やりあっていると、ミシッと表の廊下が音を立て、2人ははっとして口を噤んだ。  外を窺うと、だがそこにいたのは遠山ではなくおばあちゃんだった。 「あー、ばあちゃん……」 「智一、そろそろ出ないと帰り遅くなるよ?」 「あ、うん。ごめん、すぐ行くから」  慌てて荷物を掴み、2人は表に出た。  設楽が車に荷物を詰め込んでいる間、大竹は素早く遠山とメアドを交換しながら、「ごめんな」と今度はこちらが謝った。 「設楽、今ちょっとあんたのやることなすこと気に障るみたいで……。いつもはこんなんじゃねぇんだけどさ」 「いやぁ…、それは俺が悪いよ。気にしないでくれ」  そう言いながらも、遠山の顔はまだ疑問符をちらつかせている。 「先生、もう行くよ?」 「おう。それじゃあ遠山、皆さんによろしく」 「あぁ。本当にごめんな」  2人はおばあちゃんや家の人たちに挨拶をして、「来年もまた来て下さいね」とか「智一をどうかよろしくお願いします」とか「また泳ぎに連れてってね」とか言われながら、大量のお土産と共に車に乗り込んだ。 「おばあちゃん、伯父さん、本当、色々迷惑かけてごめんね!お世話になりました!」 「帰り道、疲れたらすぐ休んで下さいよ。智一も最後まで先生にご迷惑かけないようにね」 「うん、じゃあね!」  大竹は車の中から「お世話になりました」と深々と頭を下げて、設楽は窓から身を乗り出して大きく手を振って、車はおばあちゃんの家を後にした。

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