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第35話

「片倉先生って本当にストイックですよね。結構なスピードで走り込んでいるし、バーベルも久し振りに来て、持ち上げたとは思えないくらい重いヤツ、使ってるし」  片倉は石川と2人でジムで筋トレやランニングで体を動かして、スカッシュを1ゲームだけして2時間弱くらい体を動かした。  体を動かすのはご無沙汰だったとはいえ、片倉の基礎体力は人並以上で、程よく疲れはあるが、疲れ切っている感じではない。スカッシュは1人ではできないので、ボルタリングをしようかと思っていたのだが、体を動かすという目的だけを考えると片倉は達成することかできた。 「そんなことは……石川先生も凄い鍛えられているじゃないですか」  と片倉は言うと、ナイフとフォークを動かして、ステーキを切った。  石川が良いと勧めるレストランはホテルの中にあるステーキを出すレストランで、サラダやスープといったものが食べ放題の店舗だった最高級の和牛を使った値段の高いメニューや今流行りのアルゼンチン産の肉を使った話題性のあるメニュー、リーズナブルな価格のメニューまである。  ソースなんかは無難だが、美味で、値段を考えると、かなり良心的なものだった。 「ああ、学生の頃は新体操、やってたので。あ、でも、身体を作る為に筋トレやってたら、ボディビルダーも良いなと思って。教員になれなかったら、ボディビルしながら知り合いのジムでインストラクターするかって思ってました」  石川は確かに、片倉より上背はないが、確かに、筋肉のついた肉体をしている。もしかしたら、片倉を担ぐこともできるかも知れなかった。 「教員になれなかったら……」 「ええ、自分はピアノとか裁縫とか、自信なかったんですけどね。子どもって良いなって思うんですよね……って、ちょっと危ない発言ですかね?」 「いえ……そんなことは……」  話している口を止めてステーキを食べる石川よりも片倉は食事が進んでいっていなかった。 「片倉先生はどうして、教職を?」

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