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第37話(R18)

「こんばんは。……何だか、奇遇ですね」  片倉を呼び止めたのみで、何も発しようとしない久川に、片倉は声をかける。  すると、久川は努めて明るい声で言った。 「先程の先生……確か、石川先生でしたっけ? 彼とお楽しみだったんですか?」  普段は温厚な久川の、トゲのある言葉に。  片倉は6月にホームセンターで偶然、光臣に会った日のことを思い出していた。その時も、光臣に気があるのか。と久川に言われ、手酷く抱かれてしまったのだ。  しかも、一応、ラのつくホテルではないが、ホテルの前で目撃されている。久川に石川との会話をどこまで聞かれたかは分からないが、石川と肉体関係を持ったと思われても、仕方がなかった。 「そんな、楽しむだなんて……ただ、通っていたジムがたまたま一緒で、帰りに食事でもって言われただけで」  片倉としては嘘は一切ついていなかった。  しかも、元来、口が達者でもなければ、真面目すぎる性格で、他人を守る為ならともかく、自分の保身なんかの理由では嘘の1つもつけない男だ。  久川も半年近く、片倉の側にいて、それが分からない訳がないだろう。  分からない訳がないが、 「ふーん。まぁ、良いですよ。ちょうど目の前にホテルもありますし、本当に食事だけだったのなら、確かめても良いですよね」  片倉先生のナカを、と隠微さを匂わせるように囁くと、片倉の前立腺は文字通り、刺激を求めて、アヌスの縁をヒクヒクとさせる。場所が場所でなかったら、既に久川に身体を預けてしまっただろう。 「じゃあ、行きましょうか? 片倉先生」

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