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第60話(第2章)
寝台にうつ伏せにさせて、患部が良く見えるように腰を上げて貰った。制服の上着はそのままなので、やけに扇情的だった。自分の欲望に熱が集まってくるのが分かる。
片桐は、枕に顔を埋めていた。彼の秘められた場所を開くと、左手で固定し、右手に薬を塗った。そうして、内部を蹂躙して行く。彼の中はとても熱かった。昨夜の記憶を辿り怪我をしている部分を注意深く探る。
確かこの辺りだったな……と思いながら薬を塗布していた。矢張り痛むのだろう。傷に触れる度に身体に力が入る。しかし、彼の内部は違った。はしたない、しかし正直な場所が蠕動する。その熱に煽られる。薬を塗る積もりだけで居たが、つい、中指で彼の熱を味わった。
「あっ……晃彦っっ」
昨晩自分だけに教えて呉れた彼の最も感じる場所に当たったらしい。
枕越しとはいえ艶めいた声が出た。彼自身に左手を添えると彼も充分感じているのが分かる。堪らなくなって、右手で彼の内部の感じる一点を突き、左手は上下左右に動かして彼を昂めた。
彼の黒い髪が動く。左手は水分をはらみ、断続的で扇情的な声が漏れる。
次第に、彼の脚の力が抜けて行き、双丘だけを突き出す格好になっていった。上半身は制服のままなので、その事が余計に自分の欲望を募らせる。
「あ、っ……晃彦っ、もうっ。ダ……」
「ああ、我慢は……するな」
欲望に掠れた声でそう促した。
その声に呼応するかのように、彼の身体が一瞬強張り、そして弛緩した。下半身も汗で濡れている。その様子に彼の内部の熱を魂の分身である部分で感じたいと切実に思った。
しかし、彼は、昨夜の件で怪我をしている。欲求のままに振舞うと、怪我が悪化する恐れがある。この状態では特に。
奥歯が砕ける程の力で歯を食いしばって欲望を我慢した。
「手を洗って来る」
そう言って彼の部屋の浴室に、逃げた。冷たい水で身体を覚ます。
寝室に戻ると、片桐は布団にくるまって居た。こちらを見る視線が潤んでいた。
「今日は、無理な事はしない、が、明日はお前の内部を俺の魂の一番近い場所で感じたい」
そう宣言する様に言うと、ただ、少しの時間が経ったが、頬を染めて頷いた。
彼の着衣を断腸の思いで直して居た。
そして、同じ制服姿に戻った時、彼の方から首筋に腕を回して接吻をして来た。お互いの吐息が絡み合う様な口付けだった。
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