…浴衣で行こうなんて言い出したのは誰だったっけ。そいつをちょっと恨みながら、佑は夜店の並ぶ雑踏を彷徨っていた。ちょっとぼんやりよそ見をしているうちに、一緒に来た友達3人と、はぐれてしまったのだ。賑やかな祭り囃子のなか、佑は好奇の目にさらされながら、必死に友達を探していた。ドイツ人の祖母を持つ佑は、一見すると日本人離れしていて、日本語を話すとびっくりされることもあるくらいだ。緑がかった切れ長の目、茶色い髪の毛、白磁のように白い肌、確かに純正の日本人とはちょっと違う。 ｢…っち、痛て｣ 慣れない下駄の鼻緒が、足に食い込む。皮が剥けて、血が滲んでいた。どうしよう、絆創膏なんて持っていない。帰ろうかな、と思ったとき。絽の着物を着た見知らぬ中年男性に声をかけられる。 ｢どうかしたのかい？｣ 穏やかな口ぶりに、思わず警戒心を解いてしまう。 ｢足の、皮が剥けちゃって…血が…｣ ｢ああ、これは痛そうだ。このそばに私の家がある。そこで休むといい｣ ｢え…でも｣ 突然の申し出に、佑は戸惑いが隠せない。相手は見知らぬ男性だ。 ｢ああ、怪しいものじゃないよ。ただの小説家だ｣ ｢小説家？｣ ｢そう、あまり売れてはいないけれどね。まあひとり食べるくらいは困らない程度に売れているよ。園田敬一郎と言って、時代物ばかり書いている｣ 佑はあまり時代物を読まないので、その人が名乗る名前は知らなかった。 ｢す、すいません、不勉強で｣ ｢いやいや、君みたいな若い人は、元々読者にあまりいないから。気にしなくていいよ｣ にこりと笑うその顔が、意外に整っているのをその時佑は感じた。綺麗に撫でつけられた髪に、無精髭もなく彫りが深くて、背が高い。着ている絽の着物は着物の着の字も知らない佑が見ても、高級品とわかる。 ｢男の子で…失礼、男性で浴衣も珍しいと思って、よく見たら随分日本人離れしているし、ほうと思って見ていたんだよ｣ ｢祖母が、ドイツ人なので…｣ ｢素晴らしい。クォーターなんだね｣ 日本人とミックスになるのは、ドイツ人が一番美しいという話を知ってるかい？と問われて、いいえ、知りませんでした、と素直に答える。 ｢今日は何をしにここに？｣ ｢友達3人と、祭り見物できたんです。浴衣で行こうと言われて、着慣れない浴衣で着たんですが、はぐれてしまって｣ ｢探しているうちに下駄で足を痛めたんだね。可哀想に…ああ、ここだよ｣ 気が付けば、一軒の日本家屋の前に連れてこられていた昔ながらの作りで、味のある一戸建てだった。 ｢い、いえ、お世話になるわけには…｣ ｢その足じゃ、これ以上歩いたらますます悪くなるよ。なに、取って食おうってわけじゃない。手当てをして、家でお友達を待つといい。スマホは持ってるんだろう｣ ｢スマホは、圏外で繋がらないんです｣ ｢この人出だとそうかも知れないね。なら、お祭りが終わるまで、家にいたらいいよ。人混みが過ぎたら繋がるだろう…まあ、上がるといい｣ 促されて入ったびっくりするほど広い玄関には、よく磨かれた靴が一足ぽつりと置いてあるだけだった。 祭り囃子が意外に近くに聞こえる。 ｢さ、入って入って｣ ゆるく背中を押されて、足が痛かったこともあり、素直に下駄を脱いで上がる。 ｢ああ、これはひどいな｣ 案内されるがままに、居間らしき濡れ縁のある座敷に上がり込む。園田は棚の上から救急箱を取ると、まあ、足伸ばして座んなさい、と佑に勧める。言われたとおり、ぺたりと足を伸ばして座ると、足がじんじん痛む。鼻緒の形に皮が剥けて、血が滲んでいたし、歩き慣れない下駄で歩いたので、足の裏が驚くほど疲れていた。 ｢ちょっと沁みるよ｣ 手慣れた様子でオキシドールを綿に湿らせ、ピンセットでつまんでポンポンと消毒していく。それがたまらなく沁みて痛い。緑がかった佑の目が、思わず涙ににじむ。 ｢痛いね。もう少しの我慢だよ｣ 園田に子供へ言うように言われて、ちょっとムッとする。でも、両足消毒したので、かなり痛いのも事実だが。 ｢…はい、終わり｣ 10分も経ったろうか、ようやくオキシドール地獄から解放された。思わず深く息を吐く。 ｢ビールでも飲むかい。未成年じゃないだろう｣ ｢あっ、いえ。どうぞお構いなく｣ ｢私が飲みたいんだ、付き合ってくれよ｣ 人懐っこい優しげな眼差しがにこりと笑う。 ｢は、はあ｣ 頷く佑に、嬉しげに笑い返すと、園田は台所らしきところに消えた。直ぐによく冷えた瓶ビール3本とコップ2つを盆に乗せて戻ってくる。 ｢お友達から連絡はないかい？｣ そう言われてはっと懐からスマホを取り出す。画面には圏外、の文字が躍っていた。 ｢だめです、圏外です｣ ｢そうかい。早く連絡がつくといいね｣ 言いながら、園田がグラスにビールを満たしていく。 ｢まあ、これでも飲んで｣ ビールの入ったグラスを渡されて、乾杯、とかちりとグラスを合わせる。何に乾杯かはわからなかったが。 外は暑くムシムシして、そんな中で友達を探して歩き回ったせいか、意外と喉が乾いており、冷えたビールは実に美味しかった。 ｢お、いい飲みっぷりだねえ。喉が渇いていたのかい？｣ 空のグラスにビールを注ぎながら、にこにこと園田は笑っている。…あとはなし崩しだった。どれだけビールを飲んだのだろう。気がつけば佑はひとりで立てないほど酔っていた。白磁の肌はほんのり赤く色づいて、緑がかった瞳は潤んでいる。 ｢…大丈夫？｣ 穏やかな口調の中に、心配げな色が混ざる。佑の後ろに回って、倒れそうになっている体を支える。 ｢綺麗だね、君は｣ そう呟くと、園田は佑の浴衣の合わせ目に、そっと手を忍ばせた。つうっと指が平らな佑の胸を辿る。 ｢…んんっ…な、なんですか…｣ 胸の尖りに指が触れて、軽く爪を立てられる。痛いような、痺れるような快感に思わず甘い声が漏れるが、これに感じては駄目だ、と溶けかかった佑の理性が警鐘を鳴らす。 ｢綺麗な君を…堪能させては貰えないだろうか｣ 耳元で囁かれて、ぞくりとする。そのまま耳朶を口に含まれて、食むように味わわれた。 ｢…あ…その…ださ…ん…俺…｣ 振り向いて、帰ります、と言いかけるとくちづけで言葉を塞がれる。園田の舌が歯列を割って、味わうように佑の舌に絡んだ。 ｢…んっ…｣ 初めての感触に、佑は頭がぼうっとし始める。女を抱いたことはあっても、男に、それも行きずりの知らない男に抱かれるのは初めての体験だった。 佑の舌を存分に味わった園田の舌が首筋を這っていく。そのまま肩口に唇がおり、肩を軽く噛まれてそれすら快感になる。 片手が、佑の浴衣を乱していく。胸元を開かれ、裾を割られた。裾を割った手が、佑の中心近くをなぞり始める。その指使いにぞくぞくが止まらない。熱を持った佑の芯が、下着の中でうっすらと立ち上がりを見せる。 ｢…その…だ…さん…｣ ｢いい子だ｣ 抵抗の様子もなく、されるがままになっている佑に、園田はくちづけを落とす。佑はくちづけられながら、下着を一気に下ろされた。びくりと震える体をなだめるように、甘いくちづけがそこここに落とされる。片手がそっと佑の芯に触れた。 ｢…んんっ｣ 園田の手が、佑の芯をやわやわとしごく。すると若い佑の反応は良く、あっという間に立ち上がりを見せた。透明の先走りが、先端から溢れて流れる。それを園田は掬い取ると、佑の蕾へ塗り込めていく。なにものも受け入れたことのないそこは固く閉じていて、それを解すように園田がじっくりと根気強く指で押し揉んでいく。…ようやっと指を1本飲み込んだ蕾は、ぎりぎりと指を締め付ける。 ｢怖くないから、力を抜いてごらん｣ 胸の尖りを弄られながら、耳元で低く囁かれて、ぞくりぞくりと快感が背筋を下りていく。時間をかけて、ゆっくりと園田は佑の蕾を解す。頑なだった佑の蕾が、いつの間にか3本の指を飲み込むまでに解された。ぬちゃぬちゃと粘膜の音が淫靡に響く。外では祭りが賑やかに開かれていて、その賑やかな音がわんわんと佑の耳にこだまする。 ｢もう、いいかな｣ 背後の園田はいつの間にか胡座をかく姿勢でいて、くつろげられた絽の着物から、怒張した園田の芯が露になっていた。 佑の蕾を支配していた指が一気に引き抜かれて、その代わりに園田の芯が撃ち込まれる。 ｢うぁ…っ｣ あまりの容積の違いに、佑が苦し気な声を上げた。 ｢大丈夫、いい子だ｣ みちみちと蕾を広げられる感覚に、思わず腰が逃げるが、しっかりと腰を抱いた園田の片手がそれを禁じる。 少しずつ、蕾が園田の熱い芯を飲み込んでいく。もう浴衣は肩から滑り落ち、帯1本でどうにか止まっているようなものだった。裾はからげられ、白い佑の下肢を露にしている。にちゃにちゃと粘液質な音を立てながら、園田がゆっくりと腰を動かす。手前に感じる部分があり、そこを擦られるとあまりの快感に目の前が白く光った。 ｢…ああ…っ｣ 思わずそこを擦られて佑が声を上げると、園田はそこをしつこく攻め立てる。 ｢ここかい…ここが君の感じるところかい…｣ ｢あっ…あ…っ｣ 片手で佑の芯を弄いながら、もう片方は腰を掴んで離さない。佑は前と後ろで感じさせられて、気がおかしくなりそうだった。 ｢…君のような綺麗な子が乱れるのは、実に美しい｣ 感慨深そうにそう言うと、園田は腰の動きを速めていく。肉のぶつかる音と、粘液のかき混ぜられる音が、静かな室内に響くが祭り囃子にかき消されて外までは聞こえない。中年であろう園田は恐ろしくスタミナがあり、佑が息を上げて喘いでいても、呼吸ひとつ乱さない。 ｢…あ…っ…イ…ク…っ…イ…っちゃう…っ｣ 佑が無意識のうちに口走ると、園田は佑の芯を緩急をつけ激しく上下に擦った。 ｢あっ…ダメ…っ…イク…ぅ…｣ 佑の芯から待ちかねたように白濁した劣情が溢れて零れる。 ｢私も…そろそろだよ｣ ひとつも乱れずに、腰の動きを速めた園田の芯が、一瞬膨張したかのように感じられて、そのあと、最奥に迸る熱いたぎりを感じた。 ｢…っ…はっ…あ…は…ぁ…っ…｣ 肩で息をしている佑に比べて、園田は少し深い息をついただけで、ずるり、と劣情を吐き出した芯を佑から引き抜く。 ｢…んっ…｣ それにも感じてしまい、思わず佑の口から吐息が漏れる。 ｢君は…淫乱かもしれないね｣ 達したばかりの佑の芯を、園田が粘液にまみれた手でにちゃにちゃと擦る。 ｢あぁ…っ｣ さっき達したばかりだというのに、また佑の芯が熱を持ち始める。 ｢…お祭りは、まだ終わらないよ｣ なんの前戯もなく、いきなり園田の芯がめりめりと佑の中に挿ってくる。 ｢っ…はっ…あっ…｣ 圧倒的な質感になぜか心地よさを感じてしまい、佑は無意識のうちに自分から腰を振っていた。 ｢…ああ、いい気持ちだ｣ 満足げに園田が呟くのも、佑の耳には入っていない。時分の快楽のためだけにぬぷりと根元まで園田の芯を飲み込むと、がつがつと激しく腰を動かす。 ｢っ…あっ…っあ…気持ち…い…い…｣ うわ言のような佑の言葉に満足したように、園田は佑の芯をぬるついた手でしごき、先端の部分に爪を立て、カリの部分をなぞり、裏筋に刺激を与えたりした。 ｢あぁっ…もっと…もっとして…っ｣ 薄く開けられた目は、もう何も見ていないようだった。ただ、快楽に溺れて腰を振り、もっともっととねだるさまはただの美しい淫獣に過ぎなかった。 佑は皮膚感覚も敏感になり、風が吹いただけでもそれが快感に変わる。触れられればなおさらだ。胸の尖りを押し潰すように転がされて、爪の先でぎゅっとつねられれば、それすら激しい快感になった。 ｢…園田さん…もっと…もっと…ひどく…して…っ…｣ 啼くような声でねだられ、園田の愛撫も手荒く、神経に近いものになっていく。 ｢……イクっ…もう…イっちゃう…っ｣ ｢私もだよ。どこに出してほしい…？｣ ｢ナカ…っ…ナカにっ…いっぱい…出して…っ｣ …狂ったように抱き合い、頭がおかしくなるほどの快感を与えて与えられて、ようやく佑は2回目の絶頂に達した。園田もそれに合わせるように佑の最奥に熱いものをぶちまけた。 ｢…おや、お祭りが終わったようだね｣ 気が付くと祭り囃子はすっかり鳴りを潜め、驚くほど近くにざわざわと人の声がした。 ｢あ…お、俺…｣ 園田の言葉に正気に戻ったのか、佑が恥ずかしそうに身を縮める。 ｢君は最高だよ｣ 佑の汗にまみれた前髪を、園田が優しく撫でる。 部屋の中もふたりも、ひどい有様だった。佑の吐いた精が畳に飛び散り、園田が佑のナカに注いだ精が佑の腿を伝って流れ出している。佑はほとんど全裸に近く、必死に前をかき合わせているが、力がうまく入らない。 ｢ああ、風呂に入るといい。うちは24時間風呂だから、すぐに入れるよ｣ 優しく園田が言うのに、素直にこくり、と頷く。 ｢…ナカを掻き出さないと、お腹が痛くなるんだ｣ ぼそり、と言った園田の言葉に佑は真っ赤になってはい、と小さく返す。 ｢一緒に入ろう。私が掻き出すのを手伝ってあげるよ｣ ｢い、いや、でも…｣ ｢いまさら何を恥ずかしがることがあるんだい｣ ｢…はい｣ ｢これは、私と君との秘密だよ。ほかの人に言っちゃあいけない｣ ｢い、言いません…言えません…｣ ｢いい子だ。さあ、風呂だ｣ 突き当たりにある風呂場へ案内されて、その広さに驚く。ふたりでも悠々入れる広さだった。 ｢浴衣は、あとで着付けてあげるから、気にしなくていい｣ しゅるしゅると帯を解きながら、事も無げに園田が言う。 着物をすっかり脱いだ園田が、さあ、と佑に手を伸べる。 ｢はい…｣ 遠慮がちに佑がその手を取ると、にこり、と園田が笑った。 シャワーを出して、おいで、と園田がその手を軽く引っ張る。 ｢いいかい？｣ ｢は、はい｣ シャワーで流しながら、園田の指が佑の蕾に挿入された。意外と長い指が、うねうねと佑のナカを這いずる。そのうち、かりり、と佑の感じるところを擦ってしまう。 ｢っあ…｣ びくり、と佑が体を震わせる。 ｢君は感じやすいんだね｣ くすくすと笑いながら、園田が掻き出す作業を続ける。 ｢…もう一回…抱いてもらえませんか｣ 大方の作業を終えた時、もう佑の芯はその存在を鼓舞するかのようにいきり立っていた。掠れた声で佑が哀願する。 ｢…君って子は…｣ 園田は笑いながら、佑にくちづける。舌と舌を絡めあう長いくちづけだった。 園田が膝をついて、佑の芯を口に含んだ。 ｢…あ…っ｣ 感じたことのないあたたかさとぬめりが、佑の理性を焼く。…理性なんて、とっくに焼き切れていたのかもしれない。 園田の舌遣いは絶妙だった。腰が浮くような快感に、佑は啼き声を上げる。軽く歯を立てられて、吸われて、根元までくわえ込まれて、べろべろと舐められたかと思えば、つうっと裏筋を辿られる。 ｢…園田…さん…の挿れて…｣ 佑は頭がぼんやりとしてきて、思ったことがすらすらと出てしまう。 ｢…どうしようかなあ｣ わかっていて意地悪を言う園田に、佑は焦れる。 ｢…園田さんの…おっきいの…俺のナカに挿れて…お願い…｣ ｢よく言えたね、ご褒美をあげなくちゃな｣ 言いながら、園田は佑に壁に手をつかせると、腰を突き出すような格好をさせた。 ｢…恥ずかしい…｣ ｢これからもっと恥ずかしいことをするんだよ｣ そう言うと、園田は佑の蕾に口をつける。 ｢ああ…っ｣ 襞を舐めながら、舌先を蕾の中に捩り込む。羞恥に顔を赤くした佑が、堪え切れないように、自分の芯を自分で慰め始める。 ｢ダメだよ、自分だけ気持ちよくなっちゃ｣ 叱るように園田は言うと、唾液で濡れそぼった佑の蕾に自分の芯をめりり、と突き立てる。 ｢…あ…っ…さっき…より…固い…｣ ｢まだまだだよ｣ ずん、と蕾に根元までくわえさせると、わざとゆっくり出し入れを始める。 ｢あ……っ深いっ…奥に…当たって…る…気持ち…いい…｣ ゆっくりの出し入れに焦れたのか、佑から腰を振る。 ｢自分から腰を振るなんて、淫乱な子だな｣ ｢だって…こうすると…気持ちよくて…んん…っ｣ だんだん激しくなる佑の腰の振り幅に合わせて、園田も腰を振り始める。浅いところは外れてしまうんじゃないかと思うほどに浅く、深いところはもう内臓を突き破るのではないかというほどに深く抉り込んでいく。 ｢…あ…ふ…気持ち…いい…｣ 腰を掴んでいた園田の両手が、胸の尖りを両手で捻る。びりびりとした刺激に佑が背中を反らしてよがる。 ｢あ…あん…もっと…もっと…して…ぇ｣ 胸の尖りを乱暴にぐりぐりと指先で捏ねられ、弾かれて佑が恍惚とした表情になる。 ｢淫乱な子だね。いい子だ｣ ｢…こん…なの…は…じめて…｣ ｢ご褒美を上げよう｣ 園田が、手を触れずにいた佑の芯を両手で包み込む。佑のそこはもう先走りの透明な液体をたらたら流しながら、園田の手を待ちかねていた。その根元を、どこに持っていたのか美しい組紐でぎゅっと縛る。 ｢いや…っ…これじゃ…イケ…ない…｣ ｢どうかな？｣ 園田の手が淫靡に動き、佑の芯を蹂躙していく。 ｢あ…あ…ん…イキ…そう…っ｣ 絶頂に近いところまでイクが、根元を縛られているので、吐精できない。 園田の大きな手が、佑の芯を激しくしごき、後ろに隠れている膨らみも優しく揉みしだく。 ｢…ふ…っ…イク…イっちゃう…んっ｣ ビクリ、と佑の腰が前に出て、吐精はしないのに絶頂を迎えた。 ｢それがドライってやつだよ｣ ｢…園田さん…の…い…じわる…っ｣ 縛られている根元がじんじんと疼く。 ｢じゃあ解いてあげようね｣ 優しく園田が言うと、根元の組紐はあっさりと外される。 ｢まだ元気だ｣ 腹を打つほどに屹立した佑の芯を、また両手で激しく攻め始める。 ｢…ん…あっ…気持ち…いい…っ｣ 佑は腰をがつがつと当てられながら芯を攻められて、もう快楽に溺れるしかなかった。首筋を舐められて、ぞわぞわした感覚が広がる。きっ、と耳朶をきつく噛まれると、それだけでイってしまいそうになった。 ｢あ…あ…ん…園田…さん…も…う…イっちゃう…っ…｣ ｢いいよ…君のタイミングで…イキなさい｣ いくらか苦し気な園田の声にもぞくぞくする。突き上げる腰の動きが激しくなった。 ｢あ…ん…ダメ…ぇ…イク…っ｣ ずん、と思い切り深く突かれて、あっけなく佑は白濁の劣情を吐き出した。後を追うように園田も、佑の最奥に熱いものをどくどくと放つ。 はあはあと荒い呼吸音だけが、風呂場に響く。ずる、と園田が佑の蕾から芯を抜き去ると、待っていたかのようにどろりとした残滓があとから溢れてくる。 ｢ああ、さっき綺麗にしたのに｣ 困ったように笑いながら、園田がシャワーをまた出し始める。 ｢…まって…ちょっと待ってください…｣ ｢ん？どうしたんだい｣ ｢直ぐは…またシタくなっちゃうから…｣ ｢…困った子だね。じゃあ、他のところから洗っていこうか｣ 汗まみれになっている佑の頭を軽く撫でると、じゃあ頭から洗おうか、と提案する。 ｢…はい｣ ダルそうなのを隠すためか、佑はしっかり立って頭を洗い始める。それでも腰がぐらつくのを園田が支えてくれる。シャンプーに、リンスまで貸してくれて、佑は他の人より茶色い髪を洗う。 ｢その髪の色は、天然かい？｣ ｢はい、そうです…目の色も、です｣ ｢やはり、ドイツ人と日本人の血を持つと、綺麗に生まれるんだね｣ 感激したように園田が言うと、でも、俺はクォーターですから、と遠慮がちに訂正する。 ｢君は綺麗だよ、とても｣ 気にすることはない、とでも言いたげに園田が言葉を繋ぐ。 ｢さあ、背中側は流したよ。前を洗おう｣ ｢じ、自分で、自分でやります｣ 慌ててシャワーを取ると、自分で体の前側を洗い出す。吐精した自分の芯がおとなしくなっているのを確認して、よし、大丈夫、と決意を固める。 ｢じゃあ、ナカを洗うのは私にやらせてくれるかい｣ ｢は、はい。お願いします｣ 幾分緊張して返事をすると、意識がそこに集中しないように気を付ける。 ｢じゃあ、行くよ｣ 園田の指が、佑の蕾に挿入された。どろどろと、さっきより大量の残滓が掻き出される。ぬぷぬぷと愉快そうに指を沈めながら、掻き出しに精を入れる園田と、必死に感じないようにしている佑は、無言のままその行為を続けた。 ｢…はい、いいよ｣ 永遠にも感じる時間が過ぎて、やっと掻き出しから佑は解放された。今度は何ともなかった。 ｢ありがとう…ございます｣ ｢いやいや。私も頭と体を洗うから、君は先に出ていなさい｣ ｢はい｣ ｢タオルは、棚に入っているから｣ ｢はい、お先します｣ ざあざあとしたシャワー音を背に佑は風呂を出た。すぐそばの作り付けの棚から、バスタオルを借りて頭と体を拭く。 居間に戻ると、そこは相変わらずひどい状態で、これどうしたらいいんだろうと佑は頭を悩ませた。取り敢えず、脱ぎ散らかしたままだった下着を穿いて、放っぽりぱなしだった浴衣を肩に引っ掛ける。母に着付けてもらったので、どうやって着るのか皆目検討もつかない。途方に暮れていると、園田が風呂から上がってきた。もうきちんと着物を着ている。 ｢ああ、そうか。着付けてあげる約束だったね｣ 幾分惜しそうに言うと、すっと佑のそばに立ち、あっという間にきちんと着付けてくれる。 ｢あ、ありがとうございます｣ ｢いやいや、脱がしたのは私だから｣ ｢こっ、ここの後始末…｣ ｢ああ、いいよ。私がやっておく。君は気にしないで｣ そう悪戯っぽく笑うと、そういえば、お友達はどうしたんだいと思い出したように聞いてくる。 ｢あっ｣ それまで全く友達のことは忘れていた。慌ててスマホを見ると、何件か留守電が入っている。再生すると、案の定はぐれた友達からで、どこにいるんだ、とか、もう帰ったのか、とか、焦った声で留守電が入っていた。 ｢圏外は、解消されたみたいだね｣ ｢はい。ここで、電話してもいいですか？｣ ｢構わないよ｣ 佑は友達の中で一番頼りになりそうなやつに電話をした。プル、とほんの少し呼び出し音が鳴っただけで、相手が出る。 ｢…もしもし、俺だけど。…うん、佑。…そう、お前らとはぐれちゃって…まだいる？うん、じゃあ鳥居のところでな…すぐ行くよ…わかった…じゃあな｣ 佑はほっとしたように電話を切る。 ｢お友達とは連絡ついたんだね。よかった｣ ｢いえ…その…ありがとうございました｣ ｢いやいや、こちらこそ…ここであったことは…｣ ｢秘密、ですね｣ ｢いい子だ。さ、早く行きなさい。ここから鳥居まではすぐだから｣ ｢はい｣ たたっと玄関まで小走りに行くと、もう一度ありがとうございました、と頭を下げて、佑は出て行った。部屋には園田が悠然と残っていた。 …家に帰った佑が、帯の締め方が出て行った時と違うんじゃないかと母に質問されたのは、またの話。 　　　　おしまい