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く、と彼の肩を引いて仰向けにしてやる。とさ、と背をシーツに着けた海は、熟れた瞳で自分に覆いかぶさる志鶴の顔を見上げた。志鶴はふっと笑って、優しくその頬を撫でてやる。
「キスしても大丈夫?」
「……はい」
親指で唇を撫でてやると、海はゆっくりと瞼を下ろした。志鶴は手のひらをするすると滑らせていき、彼の手に重ねる。指を絡め、ぎゅっと握って、そして、唇も重ねた。
「んっ……」
静かに、触れるだけのキスを。そして熱が溶け出してきたら、ゆるく彼の唇をついばむ。上唇と下唇をそれぞれ、優しく、音をたてながら。唇をとろとろに愛撫して、彼が物欲しそうにゆるりと唇を開いてきても、しばらくは唇だけを蕩かしてやる。
「ふっ……、んっ、――」
そうしていると、不意に海が顔を逸らした。は、は、と小さく息をあげながら、唇をもむもむと噛んでいる。
「しんどかった?」
「……いえ、……こんなこと、されたことないので……顔から火が出そう……」
「あはは……恥ずかしいんだ。大丈夫、俺しか見てないから。ほら、もう一回……」
「ん、……」
志鶴の優しすぎるキスに、海は照れているようだった。されるがままのキスは初めてなのか、ファーストキスでもないのにたどたどしい。志鶴が軽く舌をいれただけでもびくんっと大げさに震えて、初々しさすらも醸し出している。
「ぁ……、ぁ……」
海の繊細な心に触れるように、優しくて蕩けるようなキスをした。舌を甘ったるく愛撫してみれば、儚い声をあげてひくひくと喉を震わせる。その体が、ぴくっ、ぴくっ、と小さく跳ねるので、彼の体を揺さぶっているわけでもないのにベッドがギシギシと軋みをあげた。
「あ……しづる、さん……」
唇を放すと、海が切なげに志鶴の名前を呼ぶ。甘えるのが、上手になってきている。志鶴は微笑んで、今度は彼の耳にキスをする。
「あっ……!」
「海、可愛いよ。もっと俺に甘えてみて。今まで我慢してきたぶん、全部」
「志鶴、さ……、ぁっ……は、ぁ……っ!」
くちゅ、と音をたてながら耳孔に舌をねじ込んだ。海はビクビクッと震えながらも、志鶴の背中に腕をまわしてぎゅうっとしがみついてくる。彼の脳みそに蜂蜜を注ぎ込むようにして甘い甘い水音をたて、吐息でナカを撫ぜてやれば、腰がびくんびくんと跳ね上がった。すっかり彼のそこが堅くなってしまっていたので、志鶴は軽く腰を揺すって布越しにそれを擦ってやる。
「気持ちいい?」
「……っ、きもちいっ……、きもちいい、です……っ、あっ……」
「素直で可愛い、海」
海の声が上擦って、甘やかな色合いになってゆく。男に覆いかぶさられて、受け身で快楽を与えられたことなど今までなかったのだろう。まだほんの少し触れただけだというのに、とろとろの表情を浮かべてしまっている。
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