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「あ、あ……しづるさん、……」  海はがくがくと震えながら、涙に濡れた瞳で志鶴を見つめてきた。挿れた瞬間に絶頂してしまったようで、ペニスからは切なげな白濁がだらだらとあふれてしまっている。ひいひいと苦しそうな呼吸をしているが、それでもまだ志鶴が欲しいのだろう。志鶴の名前を呼びながら、媚びるような眼差しを送っている。 「……っ」  志鶴は挿れたまま海に覆いかぶさると、ぐっと強く抱きしめた。そうすれば海はうっとりと目を閉じて、そっと手を志鶴の背中に添える。 「志鶴さん……志鶴さん、……」 「海……」 「あっ……」  ちゅ、と甘い音をたてて海の顔周りにキスをおとしていくと、海はとろんと瞳を虚ろにして儚い声をあげた。唇が彼の皮膚に触れるたびに、なかがきゅ、きゅ、と締まるので、志鶴は理性が飛びそうになるのを必死で堪える。 「んんっ――……」  海は全身を包まれるように抱きしめられて、それでいて優しくされるのが好きでたまらない。志鶴はそれを感じ取っていたので、抱きしめたまま、ゆっくりと腰を揺することにした。根元まで挿入したまま、体を揺さぶる衝撃を使って、ゆるやかに奥を責めてゆく。そうすれば海は蕩け切った、それはそれは気持ちよさそうな声をあげるので、志鶴は激しくピストンをしたい欲を抑えてそれを続けていった。ただ、海もなかをきゅうきゅうと締め付けてくれるので、志鶴も少しずつせりあがってくるような感覚にさいなまれてゆく。 「あっ、あぁっ……はぁっ……あぁあっ……」 「ン、……」  海は、小さな絶頂を繰り返していた。締め付けは徐々に強くなっていき、ドクンドクンと脈を打つような間隔で何度も何度も志鶴のものを呑み込もうとする。志鶴も限界まで昇り詰めていて、ガツガツと突き上げてやりたい衝動がどんどん膨れ上がっていってしまう。それでも我慢を重ねていけば呼吸が乱れてゆき、海はその吐息に耳を撫でられてさらに感じてしまって、余計に締め付けは強くなってゆく。こみ上げる衝動を抑えるために海の体をぎちっと強く抱きしめれば、海の絶頂はますます深くなっていき、志鶴にもさらなる強烈な快楽が襲い来る。 「海ッ……」 「し、しづる、さっ……しづるさんっ……!」 「……っ、ごめん、俺、イキそう」 「……あ、っ……きて、……しづる、さ……きて……!」 「海――……ッ」  辛くてたまらなくなった志鶴は、とうとう理性が切れてしまった。ゆるくペニスを引き抜くと、ズンッと奥を重く突き上げる。 「――ッ、は、……ァっ……」  その瞬間、海は一番の絶頂を迎えてしまった。声にならない声をあげ、仰け反り、ペニスからはぱたぱたと白濁を迸らせ、びくびくと痙攣するように震えながら昇天してしまう。志鶴も海の強烈な締め付けに耐えられなくなり、彼とほぼ同時に昇りつめた。我慢を続けたせいか、ようやくやってきた絶頂は爆発的なまでにすさまじい。今まで感じたことのない強烈な快感に、くらくらとしてしまう。

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