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「このまま、動いちゃだめだよ」
「はい……」
志鶴が耳に舌を入れてきて、音で頭を犯してくる。これをされてしまうと、もう何も考えられなくなる。海は自分の声が浴室に響いているのも忘れて、甘い声で鳴く。
「あぁあ……ぁあ……ん……」
「ん。かわいい」
する……と志鶴の手が、下腹部に伸びる。そして、手のひらで海の股間をぴたりと覆い、ゆっくりと睾丸と孔の間の部分を揉み始める。
「……っ⁉」
ほとんど触れられたことのない場所だったので、海は驚いて目を見開く。しかも、じんじんとなかを解してもらっているときのような快感が生まれ始めたので、混乱してしまった。それでも気持ちよくて、唇を結んでいることはできず、混乱のままに蕩けた喘ぎ声を出してしまう。
「あぁ……ん、ぁあ……」
「気持ちいい?」
「ぁんっ……、はい……」
「よかった」
志鶴は海の乳首をこりこりと弄りながら、会陰部を揉み続けた。ぐ、ぐ、と一定の間隔で圧迫したり、時折三本の指をつかってぐりぐりと押し込んできたり、じわじわと刺激を与えてくる。まるでなかにみっちりとした彼の肉棒を挿入してもらっているときのような、じわ……とした蜜があふれ出るような快感が少しずつ強くなっていき、海は無意識に腰を振ってしまっていた。乳首も一緒に弄られているせいで全身が気持ちよくて、おかしくなってしまいそうだ。
「あぁっ……! あっ、あっ、あっ……!」
海の体が紅く火照り、その唇からは断続的に甲高い声が漏れる。小さな絶頂が連続して訪れて、何度も腰が跳ね上がる。体が硬直してぎゅっと脚を抱き込めてしまうので、余計に恥部を大きく曝け出す格好になり、感度が上がってゆく。
「志鶴さん……っ、あ、……はぁっ……、しづる、さ……」
甘やかな快楽に全身を包まれて、海はとろとろになっていた。無我夢中で志鶴の名を呼ぶと、彼は微笑んで、くいっと海の顎を持ち上げて顔を近づける。
「一回、イこうか」
「……しづるさん……んっ……」
かぷ、とキスをすると、志鶴は会陰部の刺激を激しくした。海の体を揺さぶる勢いで強くそこを圧迫し、同時に咥内に舌をいれてたっぷりと海の舌を愛撫する。まるで奥を熱いもので激しく突き上げられるような快感に、海は瞬く間に深い絶頂に追い込まれてしまった。塞がれた唇からは声の代わりに唾液が零れてしまって、それが余計に羞恥を煽る。たぷたぷと湯船の水面が揺れ、どんどん激しく体を揺さぶられていって、限界が近くなってゆく。
「んんっ、ん、んんっ――……‼」
ぐっと最後に指で一番いいところを押し込まれ、それと同時に海は達した。ビクンッ!と大きく体を揺らし、そしてがくがくと小さな痙攣をおこす。
唇は解放され、志鶴に昇りつめているところの表情をじっと観察された。海はもはや羞恥心など溶かされてしまったので、恍惚と蕩けてしまっている顔を見られることに恥じらいは感じず、むしろ全身を快感が這いずり回っている中で志鶴の顔を至近距離で見つめられることが嬉しく思った。
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