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第16話
夏樹の強がりは明希にとっては挑発だったようで、へえ、と明希は口元に笑みを浮かべた。シャツの下からするりと手を差し入れられて、胸の突起を強く摘ままれた。鋭い痛みに思わず顔を歪め、痛い! と声を上げる。が、そうか、と言われただけで明希は行為を止めようとはしない。気持ちいいどころか、ただただ痛みだけが夏樹を襲う。
「明希、痛い……」
何度目の懇願だろう。ようやく手を離してくれて、ほっとした。乳首がじんじんと未だ痛む。目尻に涙を浮かべながら明希に文句を言おうとしたら、今度はシャツをがばと捲られた。
「夏樹、これ、脱ぐか持つかして」
言われた通りにシャツを持ち上げる。そのせいで明希が見えなくなってしまったので夏樹はぎゅっと目を閉じた。また同じ痛みに襲われるのかと思うと体が強張る。
「ふあっ?!」
刹那、感じたことのない快感に襲われ変な声を出してしまった。乳首に走るほんの少しの痛みと、それとは違う、ぞくぞくとした感じ。どうやら先端を甘噛みされたようだ。
「なに? 明希、変、やっ、」
言葉にならない訴えを口にするが明希の行為は止まらない。器用に舌を使って乳首に刺激が与えられる。その刺激が絶妙で、刺激されるたびにぞくぞく、と全身を快感が駆け巡る。
「やだ、あぁ、明希ぃ……!」
シャツを持つ手が震えてくる。下半身が熱を持ち始めているのを感じ、思わず内股気味になってしまう。聞いたことのない自分の声を耳にするたび、恥ずかしくなって顔を覆ってしまいたくなる。乳首で感じるなんて、女じゃあるまいし、と言いたいところだったがこれでは自分が女みたいだ。乳首を刺激されただけでアンアン声を上げてしまうだなんて、穴があったら入りたい気持ちに襲われる。
「性感帯は開発できるらしいな、夏樹」
明希は夏樹の胸へ、腹部へキスを落とし、ヘソに舌を這わせた。くすぐったいような、気持ちいいような、そんな感覚。
「お前は感じやすいようだ」
「そんなことねえよ。…………多分」
声を出してしまった手前、自信満々に否定することができず、そんなことしか言えなかった。
「分かりやすい嘘だな」
「う……」
「構わない、体は正直だからな」
そう言うと、明希が顔を近付けてきた。思わず顔を逸らすけれど、すぐに頬に手を添えられ、無理矢理視線を合わせる形となる。
「キス、好きだろ?」
いつもは受け身の明希が、今はやたらに積極的だ。いつもと雰囲気の違う明希に、夏樹の心臓はそろそろもたないかもしれない。
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